先日お伝えした通り、本日より、JAXAは月探査衛星「かぐや」に搭載されたハイビジョンカメラが撮影した映像の公開を開始しました。いよいよ、そしてようやく、「かぐや」のハイビジョンカメラのデータを私たちが手元でみられるようになりました。
なお、本日時点で公開されたデータは、2007年に取得されたもので、残りについては今後順次追加されるとのことです。
データ公開が行われているサイトは、JAXA宇宙科学研究所において科学データを公開しているアーカイブサイト「DARTS」(ダーツ)です。DARTSでは宇宙研が打ち上げた科学衛星が取得したデータを中心として、そのデータの公開を行っています。当然のことながら科学衛星である「かぐや」のデータもここで公開されているというわけです。
このページ、ご覧いただければおわかりかと思いますが、『「かぐや」搭載ハイビジョンカメラ(HDTV)データ公開』という項目があります。このリンクをクリックすることで、データ公開のページに飛べます。もちろんこのお知らせがなくなったときに備え、下にデータ公開サイトのURLを書いておきましたので、こちらへダイレクトに進んでももちろん大丈夫です。
このページの下の方、「同意する」(もちろん、規約をしっかりとお読み下さい。特に、「科学研究・教育目的に限りご使用いただけます」という部分は重要です)をクリックしますと、いよいよ、データ公開システムへと進めます。
上記のうち、まず手っ取り早く映像を見たい・ダウンロードしたいという方は、上のリンクのうち「HDTVデータ公開システム」を選択して下さい。
【以下注意】HDTVデータ公開システムは、Adobe Flash(フラッシュ)の技術を使用しています。このため、お手元のブラウザーに、あらかじめAdobe Flashが組み込まれている必要があります。従って、Flashが使用できない、モバイル機器のブラウザーからは、このシステムを使うことができません。PCなどを利用する必要があります。
次のような画面が現われます。
画面左側は、月面の場所や撮影日時、カメラのモード(望遠か広角か)、観測したタイプ(静止画=STILL、連続静止画=SEQUENTIAL_STILL、動画=MOVIE)を選択する画面で、必要に応じ範囲を限定したり、期間を絞ったり、カメラや観測タイプを選択したりすることができます。なお、月面では緯度は-90度から90度までを指定し、緯度0度が赤道で、マイナスが南緯、プラス側が北緯となります。
また、このシステムでは経度は360度方式を採用しています。月面表側の中心点が経度0度(緯度0度)で、東側(画面右側)へ進むにつれて緯度の値が大きくなります。そして、一周すると360度という形式です。従って、表側の経度は0〜90度及び270〜360度ということになります。
もし月面で見たい場所がある場合、月面のガイドマップなどを通して、あらかじめその場所の大まかな緯度・経度を調べておくと便利でしょう。
右側の地図は月面の地図です。ちょっとわかりにくいかも知れませんが、黒っぽい部分が「海」で、私たちがみる表側に相当します。なので、この図では地図の真ん中辺が表側だと考えてよいでしょう。
さて、適当に場所・期間などを指定した上で「検索」ボタンを押すと、その条件に見合う動画や静止画などを検索することができます。静止画や動画は地図上にそれぞれのアイコンで表示されます。
なお、地図は左上の「+」「−」ボタンを押すことで、ズームイン(より細かくする)、ズームアウト(より粗くする)を行うことができます。また、地図はマウスの左ボタンを押したまま動かす(ドラッグする)ことで、Googleマップのように地図を動かすこともできます。最初はある程度縮尺を粗くしておいて、アイコンがある場所にきたらズームしてみるというのもいいでしょう。
検索結果は、画面左側には一覧の形で、地図上にはアイコンの形で表示されます。このアイコンをクリックすることによって、場所などの情報を表示できます。
アイコンをクリックすると、タイトル(この例では撮影地点と思われます)、期間(撮影した時間帯)、場所(緯度・経度)が表示されます。
このデータで問題なければ、動画ファイル名(.wm8となっています)をクリックすると、動画が表示されるはずです。
ただ、私(編集長)が持っているシステムでは、この時点でシステムがエラーメッセージを出してしまい、現在この先に進めないという状況です。この先については今後、表示に成功し次第改めて追記いたします。
ハイビジョンカメラは日本が誇るデータでもあり、また海外からも(科学的な視点を含めて)注目度が高いデータでもあります。今後この公開システムがモバイル機器対応を含め進化することを期待すると共に、より多くの人がこのデータを使用するような広報普及活動も必要かと思います。また、以前の記事でも指摘しましたが、これらのデータを利用してもらえるような教育素材としての活用も、(JAXAに限らず)期待したいところです。あるいは、月探査情報ステーションで作るというのもいいかも知れません。
- JAXAの「かぐや」ハイビジョンデータ公開サイト
http://www.darts.isas.jaxa.jp/planet/project/selene/hdtv/index.html.ja
※ブラウザーによっては、上記URL最後の「index.html.ja」がないと日本語にならないことがあるようです。 - かぐや (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/history/Kaguya/