中国の月探査の技術面での最高責任者である、葉培建・嫦娥2号及び3号プロジェクトマネージャーは、このほどインタビューで、中国が火星探査に関してすでに能力を備えているという発言をしました。新華社の報道を人民網日本語版が伝えています。

これによりますと、まず中国は深宇宙探査に備えた各種の課題をクリアしており、地上設備についても完成している(編集長注: 中国は深宇宙探査用に、中国の東端と西端に宇宙通信用の基地局を持っているほか、月探査機打ち上げなどの際には太平洋に通信船が出動します)、また、技術的な面でも制御や通信などの課題を解決し(編集長注: 嫦娥2号が現在深宇宙ミッションを行っているので、その点に言及しているものと思われます)、火星探査機を1機打ち上げる能力を持っている。その探査機は、周回、着陸探査どちらも可能である。ただあとは、国家経済状況と政策決定を待つだけだ…ということです。

ちょうど期間として全人代(全国人民代表者会議)の最中であり、葉氏自身も全国政治協商会議委員ということですから、若干の「リップサービス」が入っている発言である可能性はあります。ただ、嫦娥2号の深宇宙ミッションや嫦娥3号での月着陸などの実績を考えますと、まったくの的外れ、あるいは空想ということにはならないかと思います。
葉氏も語っていますが、あとは経済的な条件と国家の意思決定ということですが、それがいつどのような形でなされるのか(あるいはなされないのか)、今後も注意深く見守っていく必要がありそうです。