NASAは、多目的有人宇宙船「オライオン」(オリオン)のテスト飛行を、当初の予定より延期し、2014年の早い時期に行うと発表しました。この計画に従って、主製作企業であるロッキードマーチン宇宙システム社と契約を結ぶことになります。このオライオンの試験過程では、先頃発表された宇宙飛行システム(SLS: Space Launch System)というアメリカの新しい宇宙輸送体系に基づくロケットの試験も実施されることになり、NASAのプレスリリースでは、「アメリカの雇用を創出し、将来的なアメリカの有人宇宙飛行の大きな一里塚となる」としています。
この初飛行はEFT-1(Exploration Flight Test 1)と呼ばれ、高い遠地点を持つ軌道に投入されたあと、高速で地球へ帰還する、異なる2つのタイプの軌道をとることになります。オライオンは実際に想定される通り、着水を行い、将来の有人宇宙飛行の際の地球帰還のシミュレーションを実施することとなります。
打ち上げ場所はアメリカ・フロリダ州のケープカナベラル(ケネディ宇宙センター)で、NASAはこのほど、調達関連のウェブサイトにおいて、一連の手順に関する概要を公表しました。
また、NASAはさらに、いくつかの技術提案要請を行う予定です。その中には、SLSで使用される高性能液体(または固体の)ブースターに関する設計、開発、試験及び評価が含まれています。また、宇宙船、ペイロード結合システム、フェアリングなどについての競争的開発も含まれています。
NASAは、オライオン宇宙船を用いて、宇宙飛行士を月、小惑星さらには火星へと送り込む予定です。また、打ち上げにはSLSを用い、EFT-1は、そのための重要なデータ取得のための行程となる予定です。また、最終的には開発にかかる予算を削減し、同時にリスクの軽減を図ることも目指しています。
NASAAの副長官であるデビッド・ウィーバー氏は、「オバマ大統領と議会は、野心的な宇宙探査プランを制定した。NASAはこの案に沿う形で、早急な開発を行っていきたい。飛行試験は、深宇宙探査のための重要なデータの取得を行う機会となる。」と語っています。
・NASAのプレスリリース (英語)
http://www.nasa.gov/home/hqnews/2011/nov/HQ_11-376_EFT.html