先日小惑星ベスタの周回軌道に入った探査機ドーンですが、4つの科学観測軌道の最初の軌道に8月11日に投入される予定です。周回高度はおよそ2700キロメートルで、この小惑星についての非常に詳細な観測が実施されることになります。
ベスタは、小惑星帯でももっとも明るい小惑星で、また多くの隕石の源でもあると考えられています。
現時点(8月1日)では、ドーン探査機は小惑星ベスタから約2900キロのところを飛行しています。ベスタ(とドーン探査機)は、現在地球から約1億8400万キロメートル離れたところにいます。
また、このほどドーンの科学チームは、7月24日に撮影された小惑星ベスタの最新の写真を公開しました。

7月24日に撮影されたベスタ

この写真は、ベスタからおよそ5200キロ離れたところで撮影され、航法及び科学観測の準備の目的で撮影されました。これまでの写真に比べ、ベスタの表面を非常に詳細にみることができます。また、ベスタは自転周期が5時間20分と非常に早いことから、探査機はベスタの表面をくまなく調べることができます。
ベスタにはこのカメラのほか、ガンマ線・中性子検出器や可視光・赤外マッピングスペクトロメーターといった科学装置も搭載されています。ガンマ線・中性子検出器は、合計21個のセンサーで広い領域を調べ、小惑星表面から放射される高エネルギー粒子などを調べることで、表面の元素組成を明らかにすることができます。
可視光・赤外マッピングスペクトロメーターは、ベスタの表面の鉱物組成を調べます。実はこのスペクトロメーターは、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)が彗星探査機ロゼッタや金星探査機ビーナスエクスプレスに搭載しているスペクトロメーターを改良したものです。
ドーンはこのほか、地球へ送信される電波を利用した科学実験を行い、ベスタの重力についても明らかにします。
ドーンの主任科学者であるカリフォルニア大学ロサンゼルス校のクリス・ラッセル氏は、「我々はベスタを、『最も小さい地球型惑星』と呼んできた。ドーンが送ってくる画像を見る限り、この考えが正しいことがわかる。ベスタの表面にはかつてさまざまな地質活動があり、ベスタ自身が惑星になり損ねた天体である可能性が非常に強い。」と述べています。
・NASAのプレスリリース
  http://www.nasa.gov/home/hqnews/2011/aug/HQ_11-254_Dawn_Image.html
・ドーン (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/pex_world/Dawn/