NASAは17日(日本時間)、小惑星探査機ドーンが小惑星ベスタを周回する軌道に投入されたと発表しました。投入はアメリカ現地時間の土曜日です。小惑星帯の天体を周回する探査機は世界ではじめてです。
ドーンは、ベスタのまわりを約1年間周回し、その表面の様子を詳細に観測することで、太陽系の始原天体の状況を調べ、太陽系が形成された当時どのような様子だったのか、科学者が知るための手がかりを得ることになります。また、将来的な(小惑星への)有人探査に向けたデータも得ることになります。
現時点では、まだいつベスタの周回軌道に投入されたかについてははっきりとしていません。ドーンがベスタの重力圏内に入った時間帯は、ベスタの重量と大きさによるのですが、実はまだその情報は推測に基づくものしかないためです。もしベスタが推定よりも大きければ、探査機をより強く「引っ張る」ことになります。逆にもしベスタが予想より小さいとすると、探査機が所定の軌道に入るのにより長い時間がかかることになります。ベスタが周回軌道に入ったことにより、科学者はこれから、ベスタの重力についてより正確な測定を行うことができます。
NASAのチャールズ・ボールデン長官は、「本日、私たちは小惑星帯の天体を周回するという、探査における大きな偉業を成し遂げることに成功した。ドーンの小惑星ベスタの探査は、科学的に大きな成果を得ることになるだろうし、近い将来、人間の行き先としての小惑星を考える際、そのための道筋をつける役割を果たすといえる。オバマ大統領はNASAに対し、2025年までに小惑星への有人飛行を行うよう指示している。そのための非常に重要なデータを集めるのが、このドーンという探査機なのだ。」と、その意義について強調しています。
・NASAのプレスリリース (英語)
  http://www.nasa.gov/home/hqnews/2011/jul/HQ_11-231_dawn.html
・ドーン (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/pex_world/Dawn/