2001年に打ち上げられたアメリカの火星探査機「2001マーズオデッセイ」が、このほど火星探査の最長記録を更新しました。
2001マーズオデッセイは、12月15日時点で火星周回軌道に3340日間滞在して観測を続け、これは1997年から2006年まで探査を続けた、マーズ・グローバル・サーベイヤーの記録を抜き、最長の火星周回軌道滞在記録となります。
このように非常に長い期間の観測を行うことで、マーズオデッセイは火星の長期的変化の観測にも寄与しています。また、長い観測により、他の惑星に比べ格段に精度の高い地図も作成されています。
マーズオデッセイは、観測開始後1年目の2002年に、火星の高緯度地域の地下に水素が存在することを発見しています。この発見をもとに、高緯度地域に着陸したのがフェニックスで、掘削によって氷(水の氷)を発見することに成功しました。
また、マーズオデッセイには、将来の火星有人活動に備え、火星周辺の放射線強度を測る装置が搭載されていますが、これにより、火星における太陽フレアなどによる放射線強度が地球の3倍にものぼることが確かめられました。
マーズオデッセイは、また「通信衛星」として、火星探査を支援してきました。上記のフェニックスはもちろんのこと、火星表面でこちらも長期にわたって探査活動を続けている、マーズ・エクスプロレーション・ローバー2台の通信も、このマーズオデッセイを経由して地球に届けられています。
さらに、マーズ・グローバル・サーベイヤ、そして後継機であるマーズ・リコネサンス・オービターと続く火星周回機のちょうど間をつなぐ役割として、途切れのないデータを供給するという役割も果たしています。
そして、マーズオデッセイはまだまだ働き続ける予定です。2012年に予定されているマーズ・サイエンス・ラボラトリ (MSL)の着陸に際し、その活動を支えます。MSLはこれまでで最大の科学探査装置を搭載したローバー「キュリオシティ」(好奇心)により、火星表面の探査を行う計画です。
NASA火星探査プログラム部長のダグ・マッキストン氏は、「火星探査計画は、すばらしい技術に支えられた世界一流の科学というものが、成功と長期観測とちょうど釣り合うものであるということを示している。」と語っています。
・JPLのプレスリリース
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2010-418
・2001マーズオデッセイ (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/mars/exploration/2001MO/
・マーズ・グローバル・サーベイヤー (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/mars/explorers.html#MGS
・フェニックス (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/mars/exploration/Phoenix/
・マーズ・エクスプロレーション・ローバー (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/mars/exploration/MER/
・マーズ・リコネサンス・オービター (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/mars/exploration/MRO/