「嫦娥2号の目標は全球の画像を撮影することではない」という内容の発言があったことが、人民網日本語版の記事に紹介されています。
この発言は、嫦娥計画において地上系システムの設計を担当している李春来氏から出たもので、彼とインターネットのユーザ間の対話の中ででたものです。
その中で、李氏は高解像度のデータはデータ量が膨大になること、これまで世界各国の宇宙機関でも10メートル以下の解像度による全球写真を捉えたことがないこと(以下の編集長注を参照)などを挙げ、そもそも今回の嫦娥2号探査計画において全球マッピングは目標に入っていないと述べています。李氏は、時間をかけて技術力を上げていけばいつかは全球マッピングも可能になると述べています。
(編集長注)李氏は、この人民網日本語版の記事の中で「米国、日本、欧州の宇宙開発機関でも解像度10メートル以上の月全体画像を捉えたことはなく…」と述べていますが、この部分は明らかに間違いです。「かぐや」による月探査画像は地形カメラによる画像が最高解像度で8メートル、マルチバンドイメージャでも20メートル程度の解像度で全球が撮影されています。
ただ単に李氏が「かぐや」のカメラ解像度を知らなかっただけなのか、あるいはあえて国内向けにこのような発言をしていたのかはわかりませんが、いずれにしても「かぐや」による全球データの早期リリースが待たれるところではあります。
・人民網日本語版の記事
http://j.peopledaily.com.cn/95952/7194911.html
・嫦娥計画 (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/history/Chang_e/