NASAはこのほど、土星探査機カッシーニの探査を、2017年まで延長すると発表しました。このほど発表されたNASAの2011会計年度予算には、そのための費用として年6000万ドル(日本円で約54億円)の費用を支出することが盛り込まれています。
カッシーニ探査機が打ち上げられたのはいまから13年も前の1997年でした。探査機には、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)が開発したホイヘンスという突入機が搭載されていました。この突入機は、土星の衛星タイタンの大気に突入し、大気や地表の様子を調べるためのもので、2005年1月に突入探査が実施されました。
カッシーニ/ホイヘンス探査機が土星に到着したのは2004年6月末で、それ以来約6年近くにわたり、搭載されている12の観測機器は順調にデータを送り続けています。この探査計画の終了は最初の時点では2008年でしたが、延長されて2010年9月までの実施が決まっており、今回さらに、大幅な延期が行われるものです。
カッシーニ探査機はこれまでに21000枚以上もの写真を撮影しているほか、土星の回りを既に125回周回し、タイタンには67回、氷の小衛星エンセラダスには8回のフライバイを行っています。
カッシーニの探査科学者であるボブ・パッパラード氏は、「延長によって土星の季節変化などの観測もできるようになる。」と、延長を歓迎しています。
今回の延期探査は「カッシーニ至点ミッション」(Cassini Solstice Mission)と名付けられています。至点とは「夏至」及び「冬至」のことです。カッシーニが到着した際、土星の北半球がちょうど冬至の季節を迎えており、今回の延長によって、土星の北半球が夏至になる、2017年5月まで観測が行えるようになります。
これまで土星の季節変化をここまで詳細に観測したことはありませんでした。今回の延長探査では、土星の回りをさらに155回周回することになり、タイタンに54回、エンセラダスには11回フライバイします。
また、この延長探査によって、土星の輪や磁気圏などもさらに詳細に調べることになります。探査機は土星本体と輪の間を飛行し、輪の内部構造や磁場との関係も調査します。
NASAジェット推進研究所の、カッシーニ計画プログラムマネージャーのボブ・ミッチェル氏によると、探査機の状態は非常に良好であるとのことです。
・NASAのプレスリリース (英語)
http://www.nasa.gov/home/hqnews/2010/feb/HQ_10-030_Cassini_Extended.html
・カッシーニ/ホイヘンス (月探査情報ステーション)
http://moon.jaxa.jp/ja/pex_world/cassini/