フランスのタイヤメーカーであるミシュランでは、次世代のNASAの月面ローバのホイールを、ヨーロッパミシュランと北アメリカ研究センターの共同で新しい複合材を用いて開発しています。この新
しい技術は今後の数十年に予定されているNASAの有人/無人月ミッションでの移動体用に開発されました。
「ミシュランはスペースシャトルのタイヤを20年以上にわたって提供しています。私達は私たちの技術を次世代の宇宙探査技術のために提供することにしたのです。」とミシュランアメリカの社長David Stafford氏は述べています。「このプロジェクトは世界の全ての顧客の移動体に対するニーズに答える先端技術をミシュランが持っていることを示すことにあります。NASAを含めて。」
MICHEIN-TWEEL
(ミシュラン・トゥイール)の技術を用いて、ミシュランルナホイールは柔軟性をもち常に一定の接地圧を発揮することができるため、ゆるい月面の砂地盤やクレータを走破することができます。
ミシュランルナホイールは軽いですが、アポロの月面車ホイールより3.3倍の積載量を運搬できます。ミシュランによって開発されたこのホイールは、ミシュランによって特許をとられている複合材で作られています。その複合材はクレムゾン大学とMilliken & Company社との協力で開発され、
極低温になる月面上でも牽引力を発揮することができます。
「この新技術は月ミッションだけでなく軽量で低い転がり抵抗が必要な他の移動体にも応用できます。」とStafford氏は述べています。「これは宇宙およびここ地球での移動体に革命をもたらすでしょう。」
NASAの革新的パートナーシッププログラムの資金を利用し、ミシュランルナホイールは、NASAの原位置資源利用プロジェクトの探査技術プログラムで開発されたカーネギーメロン大学の月探査ロボット、スカラベローバに搭載されました。スカラベローバは月の砂層を貫通可能なドリルを搭載し、月の日影地帯や極低温環境でもわずかなエネルギーで活動できます。またミシュランは、NASAの月面拠点のためどんな地形でも積荷を運ぶことができる6本脚のATHLETEローバ用のホイールも開発しています。
「ミシュランチームの科学者と工学者達は月探査の実現に向けて私たちの設計チームと密接な関係を維持しています。」とNASAの主任実験責任者のJaret B.Matthews氏は述べています。「ミシュランルナホイールは初期の設計目標を充分にクリヤーしています。」
ミシュランルナホイールは10月31日から11月13日の間、NASAのテストの一環としてハワイでスカラベローバに搭載してのフィールドテストを行っています。この地域はハワイ島の砂地盤に岩が散在する月の極地域に良く似た地域です。