NASAの月探査機グレイルは、9月8日に予定されている打ち上げに向けて、最終準備に入りました。探査機は昨日(24日=アメリカ東部現地時間)、ロケットのフェアリングに格納されました。
グレイルは、打ち上げから探査終了まで約9ヶ月のミッションです。目的は、月の重力を詳細に調べることで、それによって月の(熱的な)進化の過程を明らかにすることが目標です。
グレイルは2機の探査機からなり、それぞれグレイルAとグレイルBと呼ばれています。打ち上げから月までは約3ヶ月半。その間の飛行距離はグレイルAが420万キロメートル、グレイルBが430万キロメートルです。
両者は、月を回る軌道上で互いに信号をやり取りします。この信号を精密に測定し、お互いの距離を測ることで、探査機の動きに影響する月の重力を、極めて精密に測定できるというわけです。このことで、月の表面を飛行しているにもかかわらず、重力を通して、月の内部を探ることが可能になります。
グレイルの探査責任者である、マサチューセッツ工科大学(MIT)のマリア・ズーバー教授は、「グレイルは月のミステリーを解き明かし、月、そして地球、さらには、月や地球のような岩石質の天体が太陽系でどのように作られたのかを知るための手がかりを与えてくれるだろう。」と、探査への期待を寄せています。
グレイルの打ち上げは9月8日まで予定されていますが、打ち上げ可能期間は10月19日までとなっています。9月8日に打ち上げ可能な場合、打ち上げ時刻は最初が午前8時37分(アメリカ東部夏時間、日本時間で同日午後9時37分)、その次が午前9時16分(同。日本時間で同日午後10時16分)となっています。
・NASAのプレスリリース (英語)
  http://www.nasa.gov/home/hqnews/2011/aug/HQ_11-275_GRAIL_Update.html
・グレイル (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/history/GRAIL/