水星探査機メッセンジャーが、この5月6日、水星100週回目を達成しました(記事では「本日達成の予定」となっていますが、既に達成しています)。メッセンジャーに対しては、周回開始以来、既に2万以上もの指令(コマンド)が送信されています。
現時点で、既に7000万点以上の磁気測定データ、30万点の可視光・赤外線のスペクトル、1万6000点の写真、1万2000点のX線スペクトルデータ、9000点のガンマ線スペクトルデータが取得されています。
探査の主任責任者であるカーネギーメロン大学のシーン・ソロモン教授は、探査により水星の姿が徐々に明らかになってきていると述べた上で、「表面の様子はこれまでにないほどの詳細まで明らかになってきている。重力、地形データ、磁場などについてもこれまでの空白を埋めるデータが続々と集まってきている。太陽活動が活発になれば、水星の電離圏についても大きな活動がみられることになるだろう。」と述べています。
探査機の状態は正常で、メッセンジャーは現在もデータを取得し続けています。ただ、数週間後には、金星の昼にあたる部分を通過するために、探査機、及び搭載機器はこれまでで最も高い温度を経験することになります。しかも、その前には食があるため、探査機は内蔵バッテリーの電力だけで耐えなければなりません。
現時点でメッセンジャーはまだ全周回探査の6分の1を終えたばかりですが、非常に多くの発見を成し遂げつつあります。探査に加わっている科学者のラルフ・マクナット氏は、「こういう探査の現場では、『いちばん』につながるスリルを、不安のあとに感じることになるのだ。私たちにとって身近であり…しかも遠い惑星を探検することは、新しい知見、新しい知識に触れ、私たちのこの土地だけではなく、空にある天体の周りにあるかも知れない世界の生い立ちを知ることにもつながる」と語っています。
・探査チームの記事 (英語)
  http://messenger.jhuapl.edu/news_room/details.php?id=170
・メッセンジャー (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/pex_world/MESSENGER/