昨年10月に打ち上げられる予定だった、中国初の火星探査機「蛍火1号」の打ち上げ延期について、中国科学院宇宙科学・応用研究センターの呉主任が人民日報のインタビューに答え、打ち上げ延期は準備期間不足が原因であり、中国とロシアの間に協力に関する意見の相違はまったく存在しないと語りました。
このインタビューの中で注目すべき発言は、呉主任が「我々は自前のロケットで『蛍火1号』を打ち上げるだけの実力は持っている」と述べている点です。今回ロシアのロケットへの相乗りを行ったのは、経費の問題と2地点からの観測のためであるというのが、呉主任の言葉です。
また、ロシア側も当時、打ち上げ延期の提案が出されていたことに触れて、「ロシア側としても打ち上げ延期に関し真剣な検討がなされていたのだろう」と述べています。
(編集長注)蛍火1号は、ロシアが打ち上げる火星探査機「フォボス・ソイル(フォボス・グルント)」に相乗りをする形で、2009年10月にロシアのロケットで打ち上げられる予定でしたが、ロシア側の準備不足という理由で延期になりました。次の打ち上げの機会は2011年11月頃とみられます。
今回、呉主任が「中国側も準備不足であった」という発言をしている点は注目されます。また、独自のロケットでも打ち上げることが可能(ただ、根拠は示されていませんが)、という発言は、ロシアに対する牽制の意味も込められているのかも知れません。
・中国初の火星探査機、打ち上げ延期について専門家が解説 (人民網日本語版)
  http://j.peopledaily.com.cn/95952/7092517.html
・フォボス・ソイル/蛍火1号 (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/mars/exploration/future.html#PHOBOSSOIL