月は大きく分けて黒っぽい海と呼ばれる低くて平らな地域と、高地と呼ばれる白っぽく、でこぼこした地域があります。
このうち、海の方は非常に大きな衝突でできたクレーターの後を、火成活動によってできた溶岩が埋めたものですが、地球の富士山などのような火「山」の形はしていません。月の溶岩は一般に地球に比べてさらさらしているため、溶岩が噴出しても山にはなりにくいと考えられます。
また、月の地形が全体に(地球に比べて)のっぺりとした形をしているのも、このような溶岩の性質が影響していると考えられます(この点については、月には水がないため、水による風化作用がないことも大きな違いとして挙げられます)。
しかし、火山らしい火山もないわけではありません。
例えば、「海のドーム」とよばれる、滑らかな表面をもつ緩やかな凸の地形があります。マリウスの丘などが代表例です。
上から見た形は円形または楕円形で、直径3~17キロメートル、高さは数百メートル以下です。斜面は膨らんでいて、斜度は約2~3度のものが多く、主に赤道付近に群をなして分布しています。
これらの大きさ、形は地球のアイスランド型盾状火山に似ており、玄武岩質の低粘性の溶岩流によってできたと推定されます。
また、「高地のドーム」とよばれる海や高地よりも白っぽい色のドームが、高地の縁にみられます。これらは海のドームよりは急峻で、傾斜は15~30度あります。
他に、粉砕されたマグマが空中に放り出されて降り積もった「スコリア丘」(スコリアとは、玄武岩が多孔質になった「黒い軽石」のことです)もあります。ただし、月の重力は地球の6分の1しか無く、また、大気の抵抗がないために、同じ初速度で放り出されたスコリアは地球上の6倍も遠くに飛ばされることになります。このため、地球のスコリア丘よりも平らで、わかりにくい形です。
ちなみに、現在でも溶岩を噴出しているような活火山はありません。
「かぐや」が撮影したマリウスの丘付近の写真
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出典: 「かぐや」画像ギャラリー