月の表面が光ったり、煙が出たり、色が変わったりする—といったような異常な現象が、これまでにも時折観測されています。このような現象を、月の一時異常現象(TLP: Transient Lunar Phenomena)といいます。
TLPは短い場合には1秒程度、長い場合には1日以上にわたって観測されることがあります。また、TLPが起きる場所には特徴があり、特に海と高地の境界付近で起こることが多いことがわかっています。また、TLP全体の60パーセントはアリスタルコスクレーター、アルフォンススクレーターなど7地点に集中しており、特に全体の30パーセントがアリスタルコスに集中していることがわかっています。
ただ、実際にはTLPと見間違えるにはいろいろなものがあると考えられています。たとえば、
- 観測者が影のある地形を観測することが多いため、明るいところなどをTLPとして報告してしまう。
- 夜の部分にある山の頂上が太陽光によって照らされてしまい、それをTLPと勘違いする。
- 月の前面を通過した人工衛星などをTLPと見間違える。
などが考えられています。しかし、アリスタルコスやアルフォンススなどでよくみつかるTLPは、月の内部構造などに関連したものであると考えられています。実際、月で起こる地震(月震)の震源の位置とTLPが起こる場所とは関係があるという研究結果もあります。
このFAQ回答は、次の論文を参考にしています。
柳澤正久(電通大)、月の異常現象、「遊・星・人」(日本惑星科学会誌)、vol.6, No. 3,1997
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