NASAは29日、将来の月・惑星探査計画として、新たに3つの計画を最終選考候補として選定しました。この3つの計画は、月、小惑星、金星をめざすもので、最終的に選定されるのは2011年中頃になりそうです。
今回選定された計画は、以下の3つです。
○SAGE (セイジ)
 金星探査計画です。名称は、「地表・大気科学探査機」(Surface and Atmosphere Geochemical Explorer)の頭文字をとったものです。金星大気に2つの突入機(プローブ)を投下し、このプローブが降下中に金星大気の組成や気象情報などを取得します。最終的にはプローブは金星表面へ軟着陸します。1つのプローブは金星の古い大地、1つは新しい大地に着陸し、大気組成や鉱物組成などを計測します。コロラド大学ボールダー校のラリー・エスポジート氏が探査主任科学者となります。
○Osiris-Rex (オシリス・レックス)
 小惑星ランデブー探査をめざす計画です。この複雑な名前は、「小惑星のスペクトルの起源探査、及びレゴリス(表層の土)の安全回収をめざす計画」という英語(Origins Spectral Interpretation Resource Identification Security Regolith Explorer)の頭文字からなっています。その名の通り、小惑星の表層物質を50グラム程度回収し、地球に持ち帰ることをめざしています。アリゾナ大学ツーソン校のマイケル・ドレーク氏が探査主任科学者になっています。
○MoonRise (ムーンライズ)
 月の南極探査の計画です。月の南極にある太陽系最大級の衝突盆地、南極−エイトケン盆地に着陸し、そこから1キログラム程度のサンプル回収を行おうという計画です。ワシントン大学セントルイス校のブラッドレー・ジョリフ氏が探査主任科学者を努めます。
この3つの探査は、NASAが主導している「ニューフロンティア計画」に関する3回目の提案招請に応じて応募がなされたものです。なお、このニューフロンティア計画の最初の探査は、現在冥王星に向けて飛行しているニューホライズンズで、探査機2011年に打ち上げが予定されている木星探査機、ジュノー(Juno)です。
(注)オシリス計画は以前から提案されており、小惑星に軟着陸し、サンプルを回収するという、日本の「はやぶさ」計画を非常に意識したといってよい内容となっています。また、単なるサンプル回収だけではなく、小惑星について幅広い内容の観測を行うということも大きなポイントです。詳細は、ゴダード宇宙センターの記事(2007年9月)をご参照下さい。
・NASAのプレスリリース (英語)
  http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/dec/HQ_09-296_New_Frontiers_Candidates.html
・ムーンライズ計画 (月探査情報ステーション)
  http://moon.jaxa.jp/ja/topics/Moonrise/
・ニューホライズンズ (月探査情報ステーション)
  http://moon.jaxa.jp/ja/pex_world/NewHorizons/