前回の記事で速報として入れましたが、今回のニューホライズンズの冥王星最接近について、NASAは15日、記者会見を開き、探査機から無事フライバイ(天体の脇を通り過ぎること)に成功したことを信号でも確認したと発表しました。
信号の到着はアメリカ東部夏時間で14日午後9時前(日本時間では15日午前10時前)とのことです。

信号を受信した管制室

ニューホライズンズの冥王星フライバイ後、探査機からの信号を受信し、歓喜に沸き返る管制室 (© NASA/Bill IngalLs)

この「電話」は、探査機に予めプログラムされていた動作に従って行われたもので、約15分間にわたって、探査機の状態を伝えるデータが送信されてきました。再接近したはずの時刻から21時間、プロジェクトチームメンバーはさぞかしハラハラしていたことでしょう。これで名実ともに「フライバイ成功」ということができます。
これだけ時間がかかったのは、データ送信速度が遅いこともさることながら、探査機がフライバイしている前後、もっとも観測チャンスに満ちた状態で、できるだけ大量のデータを取ることが必要だという事情もあります。
そして、冥王星が人類によってはじめて探査された、カイパーベルト天体となったことも忘れてはなりません。もちろん、すでに惑星という肩書は失っていますが、私たちにとって大きな謎を秘め、太陽系誕生の手がかりを持っているカイパーベルト天体の一員、そしてその代表であるという事実は忘れてはなりません。

ニューホライズンズ計画のプロジェクトマネージャーであるアラン・スターン氏は、「マリナー、パイオニア、ボイジャーという惑星探査計画の足跡の上に、ついにニューホライズンズによる冥王星探査という一歩が築かれた(編集長注: 7月15日は、アメリカの火星探査機マリナー4号が火星に接近(フライバイ)し、探査機としてはじめて火星の詳細な写真を取得した記念すべき日からちょうど50年目でもあります)。ニューホライズンズの探査は私たちの惑星探査の一時代を画すものであり、半世紀にわたる私たちの歩みは永遠に伝説として残るであろう。」と述べています。

ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所の所長であるラルフ・センメル氏は、「本研究所のすべての人びとを代表して、ニューホライゾンズチームに対し、献身、技術、想像力、そして決断力によって歴史的な業績を打ち立てたことにお祝いを申し上げる。私たちは、世界中から集い、休むことなくミッションの成功のために尽力したこのように素晴らしい科学者、技術者、ミッション担当者のチームの一員であることを心に誇りに思う。」とお祝いのメッセージを寄せています。

以下、各方面からのお祝いのメッセージです。

「本日、新しい世代の探検家たちにより、全く新しい形での成功が導かれた。そして、私たちはさらなる発見を目の当たりにすることを楽しみにしている。これは科学と探査にとって歴史的な勝利である。私たちはまさに、いま一度、人類が持てる潜在力を押し上げたのである。」(NASAのチャールズ・ボールデン長官)

「この冥王星のフライバイ成功に際し、私は改めて、惑星探査の黄金期における素晴らしい到達点を祝いたい。まだこの到達点のすべてが明らかになっているわけではないが、太陽系探査の新時代は幕を開けたばかりだ。NASAはこれからも、火星や木星、エウロパ、そして太陽系の世界を、今後にわたって解き明かしていく。」(NASA本部の科学ミッション本部長であるジョン・グランズフェルド氏)

そして、この人からのツイートを忘れてはなりません。POTUS…President Of The United States、アメリカ大統領、バラク・オバマ氏です。

  • NASAのプレスリリース