NASAが今年打ち上げる予定の月面ローバー「バイパー」に、あなたの名前を乗せてみませんか? 現在NASAが、バイパーへの名前搭載キャンペーンを実施中です。
バイパーは、月に存在するとされる水(氷)を発見し、その量を推定することを目的として、2024年11月に打ち上げられる予定のNASAの探査機です。搭載されている機器はいずれも全て水の存在を確かめるものです。
これまで、月には水が、特に両極地域(南極及び北極)に存在するといわれてきました。この水の存在は、いまの月探査ブームのまさに火付け役ともいえます。しかし、これまでの推定はすべて周回衛星、つまり上空からの探査によるもので、実際に月面で水を探査し、それなりの量を発見したという報告はありません。
そこでバイパーは、水がかなり多く存在するとされる月の南極地域を探査し、その存在の有無の確認、そして量の推定を行おうとしています。
このバイパーにあなたの名前を搭載するキャンペーンが現在、NASAにより行われています。
記事執筆時点で22万人以上の人が名前を寄せています。
「あなたの名前をバイパーと一緒に月に届けよう」(英語では “Send your name with VIPER”)というサイトでは、あなたの名前(下の部分。例えば「淳也」)、姓(名前の最初の部分、例えば「寺薗」)、そして、あとから確認できるようにするための暗証番号(PIN CODE。4〜7桁)を入れるだけで、あなたの名前を月の南極に届けることができます。なお、入力はすべて英語で行う必要があります。
そうしますと、記念にこのような「搭乗券」(ボーディングパス)が発行されます。シャレてますね。
QRコードをスキャンすると、登録メンバー専用の「バーチャル・ゲスト・プログラム」というページに飛ぶことができます。バイパーに名前を載せた人限定で、アルテミス計画を始めとしたNASAの月探査プログラムをより深く紹介するというものです。
こちら…私の搭乗券からもみえてしまってはいますが、皆様もぜひ、名前を登録した上でアクセスしてみて下さい。
バイパーのプロジェクトマネージャーであるNASAエイムズ研究センターのダニエル・アンドリュース氏は、「バイパーはゲームチェンジャーである。この種のミッションとしては初となるもので、将来人類が月面に長期滞在するときのために、月の資源を採取できる場所についての理解を深めるものである。」と、ミッションの意義を語っています。
また、NASAの科学ミッションを統括するNASA本部科学ミッション局のニコラ・フォックス副長官(科学ミッション担当)は、「バイパーは、これまで誰も行ったことがない月面の部分を探査する。このキャンペーンでは、このハイリスクではあってもやりがいがある旅に世界を招待する。考えてみて欲しい…バイパーが月の南極の険しい地形を走行し、月の進化史、そして将来アルテミス計画で宇宙飛行士を送り込む予定となる場所についての理解を深める。その探査機にあなたの名前が載るのである。」と述べています。
月探査の歴史を変えるかも知れない、まさに「ゲームチェンジャー」となりうるバイパー。
日本も、2025年度に月の南極にローバーを送り込む、インドとの共同ミッション「ルペックス」(LUPEX)を進行中です。
マイナス240度もの気温になる極冠の地、月の南極で繰り広げられるホットな探査。そして月の南極は人類が再び降り立つであろう場所でもあります。一足先に搭乗券を手にし、バーチャルながらも月の南極へ旅立ってみるのはいかがでしょうか。
- NASAのキャンペーンページ [英語]
https://www3.nasa.gov/send-your-name-with-viper/ - NASAのプレスリリース [英語]
https://www.nasa.gov/news-release/nasa-invites-public-to-send-names-aboard-artemis-robotic-moon-rover/ - バイパー (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/challenge/lex/viper