宇宙航空研究開発機構は27日、「はやぶさ2」の帰還カプセルの展示に協力できる公益法人・団体の募集を開始すると発表しました。募集期間は4月27日から5月11日(金)までとのことで、ゴールデンウィークをはさむことを考えると短い期間となります。
今回の募集は、広く宇宙開発の理解増進、普及啓発のために「はやぶさ2」の帰還カプセルの展示を行うためで、目的は非営利に限られます。
対象となる団体は以下の通りです。
- 国内の公益団体・法人(科学館、博物館、地方公共団体など)で、宇宙活動や科学技術の理解増進を目的に広く一般向けの活動や展示企画を行っている団体・法人。
- 2021年8月上旬より2022年3月下旬の期間内において展示品の搬出入・展示が可能な団体・法人。
また、展示可能なものの詳細は以下の通りです。
- インスツルメンツモジュール
帰還カプセルの本体部分です。サンプルを入れるためのサンプラコンテナ、ビーコンを発信するアンテナやパラシュートなどが格納されています。 - 搭載電子機器部
帰還カプセルが地球からの指令を受け取り処理するための、心臓部ともいえる場所。着地の際の衝撃にも耐えられるように強化がなされている。 - パラシュート
ポリエチレン製のパラシュート。予定通り上空5キロで開き、十数分かけて着地。 - 背面ヒートシールド
カプセルの進行方向反対側を熱から守っていたシールド。パラシュートカバーと一体になっており、パラシュートを引き出す役割を果たしていた。 - 前面ヒートシールド ※レプリカ展示
カプセル進行方向を熱から守っていたシールド。帰還中に高熱を受けたために炭素層が露出し、黒くなっている。
前面ヒートシールドについては、現在実物は研究用に使用されていることから、展示品はレプリカとなります。
これらの展示品は特製ケースに収められて輸送されます。
なお、貸与の期間は、以下の3つの期間のうち、金曜日〜火曜日の連続した5日間で、水・木曜日は輸送に充てることになります。
- 2021年8月4日(水)~2021年9月29日(水)
- 2021年10月6日(水)~2021年12月1日(水)
- 2022年1月12日(水)~2022年3月23日(水)
つまり、「はやぶさ2」帰還カプセルが、今年8月、夏休み期間から来年の3月末まで全国で展示されるということです。うまくすれば、あなたの街で「はやぶさ2」の帰還カプセルをみることができるかも知れません。
2011年〜2012年にかけて、初代「はやぶさ」のカプセル展示が同様に行われました。このときはまさにはやぶさブームということもあって多くの人が展示に訪れ、全69会場で合計約89万人が来訪しました。
今回も多くの方が訪れることが期待されるのですが、残念なことに現在は新型コロナウイルスが蔓延しています。今回の展示についても、JAXAからは「博物館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」、及び各自治体が定める感染症対策指針を遵守することという条件がついています。
なお、展示に際しては非常に細かい条件がついています。展示を希望する団体・法人は以下に示すJAXAのプレスリリースだけではなく、そのページにある別紙を熟読の上、申し込みを行うことになります。
前面ヒートシールドを除いては、ついこの前宇宙から帰ってきたばかりの「ホンモノ」です。ぜひ一人でも多くの方に実物に触れていただき、小惑星探査、月・惑星探査の意義を感じ取っていただければと考えています。
展示についての情報は、月探査情報ステーションでもお知らせする予定です。
- JAXAのプレスリリース
https://www.jaxa.jp/press/2021/04/20210427-2_j.html - はやぶさ2 (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/challenge/pex/hayabusa2