土星探査機カッシーニが現在行っている最後のミッション「グランドフィナーレ」で、先日4月26日、はじめて土星本体永久の間を通過するというミッションが行われました。その際にカッシーニが撮影した画像をつなぎあわせた映像が公開されました。
探査機がミッションを行っている約1時間の間に撮影された画像をつなぎあわせ、映像としたものです。まずはアニメーションGIFの形でご覧下さい。

カッシーニが撮影した土星大気の画像をつなぎあわせたもの

カッシーニ「グランドフィナーレ」第1回の土星本体と輪の間の通過の際に撮影した画像をつなぎあわせ、映像としたもの(アニメーションGIF方式)。(Photo: NASA/JPL-Caltech)

写真は土星本体と輪の間を通過している間に撮影した、土星大気のクローズアップ画像ですので、この映像は土星大気のクローズアップ映像ということになります。写真で非常に印象的であった「黒い穴」、つまり土星の極地域にある六角形の黒い大気の渦の様子もよくわかります。

もう少し説明などを追加した映像はこちらでご覧いただけます。

今回画像処理を担当したバージニア州にあるハンプトン大学の研究者で、カッシーニの画像処理チームの共同研究者であるサヤナギ・クニオ氏(お名前からみて日系人の方でしょう)は、「六角形の境界や渦の境目の雲の壁が非常にシャープにみえたことには驚いた。こういった境目の雲が存続しているということは、より低い緯度から何かが供給されているということを示しているに違いない。」と述べています。

絵が常に四角ではなく、形が変わっているのは、探査機の姿勢が通過する際に次第に変わっているためです。
またこの写真を撮影している間に、カッシーニは雲がある領域に対して、高さ7万2400キロメートルから6700キロメートルまで一気に近づいています。それに伴って、解像度も1ピクセルあたり8.7キロメートルから810メートルにまで変わっています。

カリフォルニア工科大学の研究者で、カッシーニの画像処理チームに所属するアンドリュー・インガソル氏は、「今回の映像は非常に素晴らしいものであるが、(最初ということもあって)設定をやや安全側にしていた。この先、6月29日に予定されている土星本体と輪の間の通過の際にも同様の画像の取得を予定しているが、おそらくよりよい画像(映像)が取得できるだろう。」と述べています。ぜひ期待しましょう。

  • ジェット推進研究所(JPL)の記事 
[英語] https://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?feature=6833
  • カッシーニ (月探査情報ステーション)
    https://moonstation.jp/challenge/pex/cassini