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世界各地で、月についてはいろいろな模様に見立てられています。
日本ではご存じの通り、「ウサギが餅つきをしている」ように見えると言われていますが、このように月にうさぎの模様をみるのは、日本だけではなく、アジア全体にわたる風習です。中国やインドなどもそうですし、さらにヨーロッパや、アメリカ大陸のアメリカインディアンの中にもそのような風習があるということです。
この「うさぎ」は、発祥の地はインドの伝説で、それが中国へ、さらには日本へと伝わってきたという話です。
中国ではまた、「ガマガエル」や「大きなカニ」「カツラ(桂)の木」を月に見立てる風習もあるようです。よくいわれる「月桂」という言葉は、このカツラの木の伝説から生まれています。
カニはヨーロッパ、特に南ヨーロッパで見立てられています。
東ヨーロッパや北アメリカでは、月の模様は「横(場所によっては右上)を見つめる女性」といわれます。
アラビア半島ではライオン、南アメリカではワニに見立てられることもあります。
「水を汲む女性」という伝承も、世界各地で見受けられます。
またノルウェーでは男の子と女の子が2人でバケツを運んでいるように想像し、満月には丘に登って水をくみ、月が欠けると丘を下り、この水が地球に降ってきて雨になるという伝説があるようです。
さらには、「本を読むおばあさん」などというのもあります。
世界各地にいろいろな見立てがある理由としては、その地域に伝わる月の神話、特に月のでき方の神話、伝承と深い関係があるようです。
また、うさぎの見立てがインドから中国、日本へと伝わってきたように、文化の伝達に従って物語も伝わっていくということもあると思われます。
■参考資料
- ふたたび月へ (野本陽代著、丸善ライブラリー)
- 月のきほん (白尾元理著、誠文堂新交社)
- 百分の一科事典・月 (スタジオ・ニッポニカ編、小学館文庫)