「地球の出」とは、月の地平線から、地球が上ってくるようにみえる現象をいいます。

月の自転周期と公転周期は同じなので、月はいつも同じ面を地球に向けています。
これは逆にとらえると、月の表側のある地点に立って地球を見た場合、いつも同じ場所に地球が浮かんでいるように見えることになります。月の表側の真ん中付近ではいつも頭の真上に地球は見えますし、月の南極や北極、裏に近い端の方では月の水平線上に見えるでしょう。
このため、南極や北極を飛行している宇宙船から、月の地平線上に地球が出てくる「地球の出」や、逆に地球が地平線の下に消えていく「地球の入り」をみることができます。

「地球の出」として有名な画像は、アポロ8号で撮影された地球の出の映像です。荒涼とした月の上に地球が浮かんでいる映像は、地球の存在を象徴するものとして、「20世紀を代表する写真の1枚」にも選ばれています。
そして、日本の月周回衛星「かぐや」は、地球の出の写真を撮影するだけではなく、ハイビジョン映像によって、この「地球の出」の映像を撮影することができました。

ここで気をつけたいのは、月面にいるときには、「地球の出」をみることができない、ということです。上でも述べたように、月面では地球は常にほぼ同じ位置にみえます。従って、上空を飛行する宇宙船から撮影する場合でのみ、「地球の出」がみえるということになります。


下は、アポロ8号が撮影した、「地球の出」の写真です。撮影日は1968年12月29日、月周回軌道投入のあとに撮影されたものです。このとき、アポロ8号宇宙船は月面から175キロの高さを飛行しており、月の地平線までの距離は約680キロです。


写真をクリックするとより大きな画像を表示できます(サイズ: 1.6MB)。
(Photo by NASA, Source: GRIN (Great Images in NASA))


以下は、2007年11月13日に公開された、「かぐや」撮影のハイビジョンカメラの映像から切り出した静止画です。
いずれも写真をクリックするとより大きな写真を表示できます。(Photo: JAXA/NHK)

上は、2007年11月7日(日本時間)に撮影された、「地球の出」の映像です。月の北極付近を飛行している際に撮影され、地球はアラビア半島などがみえています。
その動画は以下からご覧いただけます(映像: JAXA/NHK, 出典: YouTube JAXAチャンネル)。

また、2008年9月30日には、満地球の出の撮影にも成功しています
(映像: JAXA/NHK, 出典: YouTube JAXAチャンネル)。


こちらは「地球の入り」の写真です。地球は画面では上が南側になっています。オーストラリア大陸が中央左、右下にはアジア大陸がみえます。
映像は下からご覧いただけます。
(映像: JAXA/NHK, 出典:YouTube JAXAチャンネル)


■関連ページ