まず、どうして地球では朝焼けや夕焼けが起こるのでしょうか。
太陽の光(可視光線)は虹などで見られるように紫から赤まで様々な色の光が含まれています。紫色の光の方が波長が短く、青、緑、黄、橙、赤の順で波長は長くなります。
一方、地球には大気があり、光は空気分子にぶつかると四方八方に散乱します。この散乱の度合いは光の波長によって異なります。
波長の長い(赤に近い)光はあまり散乱されずに大気を通過しますが、波長の短い(紫や青に近い)光ほど大きく散乱します。昼間、太陽は空高くにあるときには、大気の層を通過してくる途中で散乱された青い光が目に届くため、空は青く見えます。
ところが、太陽が明け方や夕方に傾いてくると、光は昼間とは違って大気層の低いところを斜めに通過するので、目に届くまでの大気層の距離が長くなります。
通過する間にぶつかる空気分子の数が多くなるり、散乱される回数も増えるので、青い光は目に届く前に弱まってしまいますが、散乱されにくい赤や黄色の光は残って強調され、朝焼けや夕焼けになるのです。
さて、月面は真空の世界です。厳密に言えば、月面に着陸したアポロなどの測定によると、昼間には1立方センチメートルあたり約2億個から成る大気がありますが、これは地球の大気に比べると1000億分の1以下という薄さです。
というわけで、太陽光は散乱されず、青い空や、朝焼けや夕焼けを見ることはできません。