はやぶさi (東京国際フォーラム(東京都千代田区) 6月13日〜10月10日)

その2 「はやぶさi」の紹介の続きです。 「はやぶさ」は、決してJAXAだけで作られたわけではありません。細かな部品などは日本全国で作られているのです。いわば「オールジャパン」が支えた「はやぶさ」の成果。このパネルでは、日本地図上に「はやぶさ」に関わった企業を図示しており、日本全国の力がこの大きなミッションを支えてきたことを体感することができます。 体感、といえば、こちらはまさに体で体験できる展示です。「はやぶさ」が小惑星イトカワのサンプルを地球に持ち帰ってきた、それとまったく同じ重さ、大きさのカプセルが展示されています。また、それを実際に持ち上げることもできます。私も持ち上げてみましたが、実際にずしりと来る大きさで、オーストラリアの現時回収部隊は、これを本当に慎重に扱っていたのだろうと思いました。 そして、忘れてはいけないのが(?)、リポビタンDとの関わり。もうこのコーナーをお読みの方はご存じとは思いますが、イトカワへのタッチダウンの際、私と齊藤潤氏(現・東海大学)が、リポビタンDをのみながらブログを書いていた様子が世界中に 伝わり、有名になってしまったというエピソードです。このキーボードは当時のブログを書いていた際の本物(我が家から引っ張り出してきました)。キーボードもこのように、リポビタンDの10本入りの箱を2つ台にして置きました。通称「リポビタンブリッジ」。意外にこれ、安定性がいいのです。 もうちょっとクローズアップしてみますと、リポビタンDがいっぱい並んでいますが、その中にちょっと変わったラベルの製品があるのがわかります(この写真だと難しいかも知れませんが)。これは、映画「はやぶさ」で登場した小道具のリポビタンDです。2005年当時はいまとはラベルが少しだけ違っているのですが、その微妙な部分までしっかりと再現されています。 「はやぶさ」は、イトカワに降りていく際に、ターゲットマーカーという丸い物体を落とします。これが探査機からのフラッシュ光を反射させることにより、探査機を導いていくわけですが、ただ落とすだけですとそのままバウンドして遠くへ行ってしまいかねません。そのため、バウンドしてしっかり着地させるための工夫が必要でした。そのヒントが何と「お手玉」だったのです。このお手玉は実際に試験で使われたものだそうです。 こちらは論文です。「はやぶさ」に搭載されていた超小型ローバー「ミネルバ」についての論文で、小惑星表面のように重力がほとんどない場所での物体移動について解析を行った論文です。 「はやぶさi」のいちばん奥には、古川聡宇宙飛行士のコーナーがあります。ちょうど「はやぶさi」がオープンしている時期に国際宇宙ステーションに滞在していた古川さんは、実は「はやぶさ」に非常に思い入れがあったのだそうです。また、世界初の宇宙での映画試写会も、この映画「はやぶさ」で行いました。そんな縁もあり、古川さんの宇宙での活動状況なども、ここで展示されています。 [...]

By |2023-07-10T10:01:50+09:002016年3月29日|2011|0 Comments

第28回 宇宙技術及び科学の国際シンポジウム(ISTS) (沖縄国際会議場(沖縄県宜野湾市) 6月5日〜12日)

その2 ISTS沖縄大会の模様、その2です。こちらでは、同時開催の一般向けイベントの模様を中心にご紹介します。 前のページにあった国際会議場のちょうど向かい側にある展示場で、国際宇宙展示会とこどもサイエンスフェスタという2つのイベントが同時開催されていました。この写真はその入り口の様子。展示会は、様々な宇宙関係(「はやぶさ」の帰還カプセルを含む)の展示、サイエンスフェスタは、子供向けの講演やイベントなどです。 会場の入り口に展示されている…というか、床に貼られているのですが、こちらは、地球観測衛星「だいち」が撮影した、沖縄本島南部地域の写真です。親子連れの大きさから、写真の大きさがだいたい想像できると思います。皆さんまずはこの写真を「踏んで」、沖縄の形を再発見したり、自分が住んでいるところを探したりしていました。 入口正面から撮影した会場の様子です。左下側に上の「だいち」の沖縄写真が写っています。向かって左側が展示コーナー。右側がイベントや講演などのためのステージや、実験コーナーになっています。左側に「セル・展示」と矢印が写っていますが、この奥に「はやぶさ」カプセル展示コーナーがあります。 こちらは「はやぶさ」帰還カプセルの展示入口です。この時間は平日午前中ということもあり、たまたまあまりお客さんがいない時間帯でしたが、並ぶときにはこの入口にずらっと行列ができていました。この奥、パネルがかかっている一角の向こう側がカプセルの展示スペースなのですが、その中は撮影禁止です。 そうやって写真を撮っているところに、ちょうど社会科見学でやってきた小学生の一団が入ってきました。一気に会場がにぎやかになります。まずは、この展示スペース、そして「はやぶさ」のカプセルについての説明です。正面で説明しているのは、JAXA宇宙科学研究所対外広報主幹の阪本成一教授です。 カプセル展示の前のスペースには、「はやぶさ」の模型も置かれていました。縮尺を聞きそびれてしまったのですが、だいたい10分の1くらいの大きさかと思います。「はやぶさ」模型の手前には、小惑星イトカワの模型も置かれています。 「はやぶさ」模型の近くに置かれている、カプセルを帰還時の熱から守った熱シールドの模型です。 こちらは、現在JAXAで開発が進められている次世代固体ロケット、イプシロンロケットの模型です。こうしてみてみると、イプシロンロケットは(M-Vなど、これまでの固体ロケットに比べて)ずいぶんずんぐりとした(胴が太くて全長が短い)形をしています。 [...]

By |2023-07-10T10:01:50+09:002016年3月29日|2011|0 Comments

日本惑星科学会秋季大会 (名古屋大学(名古屋市) 10月4〜6日)

その2 日本惑星科学会2010年秋期大会の模様の続きです。 セッションとセッションの合間の休憩時間には、ポスターセッションの会場にも多くの人たちが訪れ、議論を交わしていました。議論の合間にも議論、というのが学会といえるでしょう。 さて、すべてのセッションが終わり、夕方。外がすっかり暗くなると、ポスターセッションのコアタイムの始まりです。コアタイムとは、ポスターの発表者が必ず前に立って説明しなければならない時間。逆にいえば、興味がある発表ならじっくりと議論ができる時間でもあります。そして、じっくりと議論するためには… アルコールは人を雄弁にさせる、といいますが(?)、ビールを片手にすると、議論もさらに盛り上がります。紹介する方も聞く方も、ビールを手に熱いトークとなります。お酒の力もあり、初対面の人ともうち解けたり、学生さんが偉い先生と徹底的に議論する、なんてこともできます。 自分のポスターの前での記念写真。半袖のシャツを着ていますが、10月とはいえ、名古屋はまだまだ暑い日が続いていましたし、熱い学会には半袖くらいがちょうどよかったと思います。 夜道をレストランへと向かう人の列。2日目、学会の懇親会が学内のレストランで開催されました。実はこのレストラン、かつて学生時代によくお昼ごはんを食べにいった場所に建てられています。すっかりきれいになった建物に、少し時代を感じます。 料理やお酒が並べられたテーブルを前に、多くの人たちが集まっています。懇親会は、同じ惑星科学の研究をしている人たちが久々に集い、近況を語りつつ楽しい時間を過ごす場です。この夜も、グラスを片手に多くの人たちが、近況を、研究の状況を、あるいは…と、様々なことを語り合っていました。 この懇親会の席で供された、名古屋大学の地ビール。いまや大学が地ビールまで作るようになったんですね…びっくりであります。ちなみに、この地ビールを作っているのは、岐阜県中津川市にある博石館なのですが、ここは私が地球科学科(現在の地球惑星科学科)に所属していた頃、巡検で訪ねたこともある、懐かしい場所です。 ‹‹ [...]

By |2023-07-10T10:01:50+09:002016年3月29日|2010|0 Comments

宙博2010 (科学技術館(東京都千代田区) 10月29〜31日)

その2 2010年10月に開催された、宙博2010の模様の続きです。 このページでは、会場で見かけたいろいろな展示の様子などを紹介していきます。 展示コーナーに設けられていた、ALMA(アルマ)望遠鏡の模型。南米アタカマ砂漠の高地に、このようにたくさんの電波望遠鏡が並べられています。 「写真をおとり下さい」という大きな看板がある場所、でも、遠くの風景がちょっと変ですよね。これ、実は火星の風景です。マーズ・エクスプロレーション・ローバーが撮影した火星の大地の大パノラマ写真をバックに記念写真が撮れるというコーナーでした。写真の中だけでも火星旅行ができるというわけです。 宇宙空間では水は貴重品、そう簡単に洗濯ができるわけではありません。長く宇宙に滞在すると、長い間身につけていても着心地を悪く感じない(臭わないとか…)下着が必要…というわけで出てきたのがこの「宇宙下着」。いまでは宇宙だけではなく、災害などのために、着替えができにくいような環境に置かれている多くの人たちのために役立っています。 ここは宇宙農業のコーナー。将来的に宇宙、あるいは他の天体に人間が長期滞在するということになると、食糧を自給することが必要になるでしょう。そのときのために、宇宙での農業や食料品の供給を考えよう、という研究が進んでいます。さて、右側のガラスパネルにご注目。 そのガラスケースに入っていたのはこれ…なんと、カイコです。将来、火星への長期飛行や長期滞在などを想定して進められている研究として、このカイコを食料にしようという計画があるのです。実際カイコは栄養面ではすぐれているそうですが…なかなか、姿をみるとちょっと食べる気はしないですね…。会場では、カイコから作った粉を入れたクッキーなどもありました。 こちらはみておわかりの通り、将来的な月・惑星探査のために開発されている無人型のローバー(月面車、惑星面車)です。無人ではありますが、大きさはそれなりに大きいものではあります。 このローバー、実はすぐ隣の机から操縦ができるようになっています。写真は、ローバーを操縦している子どもたち。直接ローバーをみながら操縦するというよりは、コンピューターのモニターを見ながら動かしているという形です。実際の天体での操縦もおそらくこういう形になるのでしょう。 [...]

By |2023-07-10T10:01:50+09:002016年3月28日|2010|0 Comments

会津大学オープンキャンパス 秋ステージ (会津大学(福島県会津若松市) 10月9〜10日)

その2 会津大学オープンキャンパス(秋ステージ)の模様の続きです。 パネルという形で、研究室で行われている研究の内容を展示しています。一見すると難しいのですが、…よく読んでも難しいものもあります…すいません。ただ、学生さんにとっては、このように自分の研究を人に説明する形で文章にすることで、自分も研究に対しての理解を深めるようになります。 いままでの展示スペースとはちょっと方向を変えて、その真正面の部屋にあたる(ふだんは小講義用の教室に使われている)映像スペースの様子です。プロジェクターではいろいろな映像を時間を決めて放映しています。そのためのプロジェクターが真ん中に写っています。 受付の前で、受付の様子を尋ねながら談笑する、会津大学の宇宙関係スタッフと学生。 今回は、お客様にも「イトカワ模型」をお持ち帰りいただけるようにいたしました。大人気…かと思ったのですが、意外に残ってしまいました。家族連れの方は遠慮して1家族1つにしてしまった方もおりました。かと思うと「孫へのおみやげに」と持ち帰って下さるおばあちゃんもいらっしゃいました。お孫さんがどのような顔をしてこの模型を見つめるか、私も興味深いです。 会津大学で作成している、コンピューター内に再現した小惑星イトカワの3次元モデルの展示です。このモデル、実はマウスを使っていろいろな方向に開展させたり拡大・縮小させたり(ズームイン・ズームアウト)することができます。学生さんの研究により、今年は従来よりもより速い速度で動作させることができるようになりました。 展示内容を説明する学生スタッフ。パネルを作るのももちろん勉強ですが、それを説明することも、自分の研究を自分自身で理解する、あるいは他の学生の研究を理解することも、勉強の大事なステップです。 やはり「宇宙」の展示は人気があるようで、多くのお客様でにぎわっていました。「はやぶさ」ブームもかなり影響があったようです。お子さんが入口の模型をみて「あ、はやぶさ!」と答えていたりしました。 会津大学にも公式ツイッターアカウントがあり、日常のできごとや講義日程などの情報を発信しています。このオープンキャンパスのときには、ふだんであれば休講や教室変更などを表示している大型ディスプレイにツイッターの情報を流して、このオープンキャンパスについてのご案内や最新の情報が見られるようにしました。 [...]

By |2023-07-10T10:01:50+09:002016年3月28日|2010|0 Comments
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