疑惑
アポロ宇宙飛行士が持参したカメラには、被写体の大きさを測りやすくするように、十字が刻まれている。ところが、何枚かの写真では、この十字の前に実際に物体があるようにみえる。これは、もし十字がカメラの中にあったとしたらあり得ないことである。だから、これらの写真は作り物だ。
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アポロ16号と月面車を写した写真(左)。月面車から飛び出た白い測定機器のに重なった部分にある十字の線が消えている(右)。 |
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アポロ11号の着陸船と、そのそばで観測装置をセットしているバズ・オルドリン宇宙飛行士(左)。手前に置かれた観測装置に重なっている十字の線が消えている(右)。 |
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月面に星条旗を立てた直後の、アポロ12号の宇宙飛行士(左)。この星条旗に重なる部分の十字の線が消えている(右)。 |
真実
NASAが十字を宇宙飛行士のセットの後ろに描いたのでしょうか? 嘘だと信じる人によると、この十字はあとで加えられたもので、NASAはその処理をするときにへまをやらかしたというのです。ではなぜ、後から十字を加えなければならないのでしょうか。十字がついたカメラは長い間ずっと使われてきていますし、こういったカメラを使ってセットの中で撮影するのは簡単なことです。でも、写真は確かに変です。では、何が起こったのでしょうか?
何が起きたかを知るためには、写真をよりよく見てみると分かります。被写体が十字の前にあるようにみえるとき(そのために十字が被写体によって遮られているようにみえるとき)には、この被写体が白い場合なのです。一方、十字は黒です。さて、あなたは露出オーバーの写真を撮ったことがありますか? 白い部分がフィルムの上で広がってしまい、そのまわりもやはり白っぽく見えてしまいます。それが、ここで起きたことの全てです。写真の中の白い被写体が、黒い十字を「埋めて」しまったのです。これはコントラストの問題です。フィルム上で白い部分が強く出てしまったため、十字が見えなくなってしまった。写真術の基本です。
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「月の雑学 第3話」は、いくつかのページを除き、Phil Plait氏によるサイト"Bad Astronomy"内にある、"Fox TV and the Apollo Moon Hoax"の内容をもとにしています。 「月の雑学 第3話」を作るにあたり、翻訳及び内容の使用を快諾していただいたPhil Plait氏、及びサイトの内容をご紹介いただいた、MITの石橋和紀さんに感謝いたします。
なお、「月の雑学 第3話」の内容につきましては、Phil Plait氏は責任を持ちません。記述内容についてはあくまで、月探査情報ステーション主催者が責任を負うものとします。