スリム (SLIM: Smart Lander for Investigating Moon)計画は、イプシロンロケットでの打ち上げが計画されている、月着陸技術実証のための計画です。
スリム計画では、史上はじめて、無人の着陸機を高精度(ピンポイント)で着陸させることを目指します。これまで、月・惑星探査の着陸機は、地上からの誘導やあらかじめ計画した形での無人着陸を行ってきましたが、着陸地点は予定地点よりも何キロもずれることが普通で、「降りたい場所に降りる」ということはできていませんでした。
スリム計画では、例えば科学的に重要とされる地点などに高精度で(誤差100メートル程度)降りることを目的としており、これまで難しかった「降りたいところに降りる」探査を実現できることになります。そのための技術実証がこのスリムの役割です。
また、スリムはイプシロンロケットという比較的小型のロケットで打ち上げられます。そのため、将来小型の着陸機を月や火星に下ろす際にも、より小さく、安価で、開発期間が短い着陸機を開発することが可能となります。
もちろん、日本として月・惑星への着陸技術(比較的大きな重力を持つ天体…重力天体への着陸)は、周回探査の次の段階として極めて重要であり、この技術をしっかりと確保することも必要となります。
スリムは、いまのところ技術実証が主目的であり、着陸機には科学機器を搭載する予定はないようです。打ち上げについては、各種報道などでは2018年度が有力とみなされています。
なお、スリムの着陸地点は現時点(2017年3月)では未定です。また、スリムはセレーネ2とも異なるミッションです。