アメリカ航空宇宙局(NASA)と、サウジアラビアのアブドラジズ王立科学技術都市(KACST: King Abdulaziz City for Science and Technology)は、このほど月探査および小惑星探査に関する協力に関する協定を調印しました。この協力関係は、サウジアラビア月・地球近傍天体科学センターが、NASAエームズ研究センター内の月科学研究所(LSI, Lunar Science Institute)の関連研究所となるというものです。
KACST研究所のテゥルキ・ビン・サウド・ビン・モハマド・アルサウド副総裁は、「この協力関係は、昨年締結されたサウジアラビアとアメリカとで締結され、閣議によって承認された、科学技術に関する覚書に沿ったものである。月科学、そして最近では地球近傍小天体に関する国際的な関心が高まってきており、今回サウジアラビア月・地球近傍天体科学センターがサウジアラビアにおけるこれらの天体の研究の核になることとなった。さらに、私たちは両者の協力関係が、両国の利益になるように発展させていきたいと思っている。」と語っています。
一方、NASAエームズ研究センターの副所長であるグレッグ・シュミット氏は、「NASAの月科学研究所は、最新の月科学研究を実施する共に、次世代の月科学者、探査に携わる人たちを養成するという役割も果たしている。私たちが国際的な協力関係を広げるのは、こういった役割を満たすためのものであり、サウジアラビアという新たな仲間が加わり、NASAの月科学研究所に対して重要な科学的貢献、教育、トレーニングなどの役割を果たすことを大変楽しみにしている。」と語っています。
在サウジアラビアのアメリカ大使、ジェームス・スミス氏は、「これは、二カ国間の科学技術協力を進めるプログラムの上で重要な進歩である。オバマ大統領が6月4日に(エジプト・カイロで)イスラム世界に対して行った演説において、科学技術分野での協力を進めるという目標を掲げたが、これはサウジアラビアのアブドラ国王が持つビジョンともぴったりと一致するものである。」と述べています。
サウジアラビアの科学センターの提案は、センターが持つ技術力を、研究所における月科学の進展のために用いるというものです。科学的、また文化的な側面で重要とされる個別の領域には、レーダー・赤外線撮像、レーザー測距および撮像、地形把握に関する研究などが含まれています。科学センターの地球近傍小天体に関する研究は、NASAのこの分野での研究にも大きく貢献するものです。
KACSTの国立人工衛星技術プログラムの副所長であるハイセム・アルトワイジリ博士は、「サウジアラビア月・地球近傍天体科学センターの第一の目標は、サウジアラビアにおけるこれらの天体に関する研究を集約することである。それによって研究者だけでなく、これから学ぼうとしている学生たちにも大きなアピールになる。また、科学的な研究に対して豊かな基盤を提供することにもつながる。」と述べています。
NASA本部の対外関係部副部長のマイケル・オブライエン氏は、「NASAは、世界中の大きい、あるいは小さい組織との相互利益を促進するために、国際協力を推進している。サウジアラビアの当局者との会談を通して、さらに他の分野においてもお互いの関心が一致するところがあれば協力関係を広げていきたい。」と語っています。
・NASAのプレスリリース (英語)
  http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/dec/HQ_09-284_NASA-Saudi_statement.html