国際的な月着陸技術競争であるグーグル・ルナー・Xプライズに参加しているアストロボティックテクノロジーは、このほど、この技術競争のために2012年までに送る予定のローバーに、240ポンド(109キログラム)ほどの重量を、研究者が観測機器を搭載したり、月面での何らかの商業的な用途に使えるように割り当てると発表しました。moondaily.comが伝えています。
アストロボティック社は、同社のウェブページにおいて、「情報提供のお願い」として、どのような用途があるかを募集しています。その中には、月表面に水があるかどうかを確かめるというようなものも含まれています。
また、月の砂から酸素を取り出したり、地下の溶岩チューブへ通じる穴を見つけ出したりすることも含まれています。
一方、同じくこの競争に参加しているセレスティス社は、既に240ポンドのうち11ポンド(約5キログラム)を割り当てると発表しています。このセレスティス社はヒューストンに本社を置き、宇宙葬儀を手がけています。既に月や地球、地球回り低軌道などに8回の打ち上げ実績があります。
普通、月を研究している科学者が何らかの機器を月に運びたい場合、探査機を丸ごと設計しなければなりません。NASAも現在、低価格探査計画の「ニューフロンティア計画」や「ディスカバリー計画」で、こういった低価格(といっても数億ドル単位ですが)の探査を実施しようとしています。しかし、今回のアストロボティック社のような試みが成功すると、科学者が「重量量り売りで」探査装置を月に運ぶことができるようになります。あるいは、月面で何らかの商業的な試みを行おうとする人たちにも同じような機会が提供されます。
アストロボティック社のローバーはそれ自体が重量150ポンド(約70キログラム)あり、これに加えて240ポンドの機器を輸送するための手段として、スペース・エクスプロレーション・テクノロジー社のファルコン9ロケットを利用することを考えています。
アストロボティック社では、2012年にこの最初のミッションが成功した後は、年1機くらいずつ同じようなことを行うことを考えているようで、月の極地域に着陸機やローバーを送り込むことも検討しています。