先日打ち上げられたアメリカの月探査機、ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)は、約4日半をかけて月に到着し、6月23日午前6時27分(日本時間同日午後7時27分)、月周回軌道への投入が確認されました。
月に向かう間、技術者がLRO/LCROSSは軌道の微調整を行い、月へ向かって正しい軌道を飛ぶように調整を図りました。月自身も動いています(公転しています)ので、探査機は月が向かう先の方に軌道を向けなければなりません。月に近づくと、LROはスラスタを噴射してスピードを落とし、月の重力に捉えられるように飛び方を調整しました。
「LROの月軌道投入は、この探査において重要なマイルストーンだ。LROは月軌道に入らなければ探査を始めることはできない。いちど月軌道に入ってさえしまえば、月の地形や特徴、資源などを調べるための膨大なデータを集めることができるのだ。私たちは、NASAが計画している『ふたたび月へ』という動きの中に身を置いていることをとても誇りに感じている。」(LROの探査副責任者のキャシー・ペディー氏)
このあと4日間、4回のエンジン噴射を行って、衛星は探査準備軌道(commissioning phase orbit)に入ります。この探査準備軌道では、LROに搭載されている7つの科学機器の初期動作試験(チェックアウト)を行うほか、データを地球に送信できる状態にします。探査準備段階は打ち上げから約60日間で、そのあと、LROは初期観測軌道に入ります。
この初期観測軌道は月上空50キロという非常に低い高度を周回する軌道で、1年間にわたり、高精度の画像や3次元地形図、様々な波長での観測を行う予定です。また、月でもっとも深いクレーターの調査、永久影や永久日照域の調査や、月周辺に降り注いでいる放射線が人体に与える影響の調査なども行います。LROがもたらすデータはこれまでのどの月探査計画よりも多いものになります。
・NASAのプレスリリース (英語)
  http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/jun/HQ_09-144_LRO_moon_orbit.html
・NASA LROサイト (英語)
  http://www.nasa.gov/lro
・LROのTwitterページ (英語)
  http://twitter.com/lro_nasa
・ルナー・リコネサンス・オービター/エルクロス (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/history/LRO/