3月15日(アメリカ現地時間)、NASAは月探査機ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)が取得したデータの公開を開始しました。このデータは、NASAのデータ公開システム、惑星データシステム(PDS: Planetary Data System)のアーカイブとして公開されます。
PDSは独自のデータフォーマットを持っており、LROに搭載された7つの機器は、さらにそれぞれ別のデータフォーマットでデータが公開されます。ほとんどのデータはデータ取得時に近いもので、あまり処理がなされていないものです。そのため、研究者はこのデータを入手した上で、さらに高度なデータ処理を行うことも可能です。
機器チームは、今後さらに高度なデータ、例えばLROデータをもとにした地図や校正済みデータなどの提供も予定しています。
今回のデータ公開より前にも、LROカメラチームは既に何百枚もの画像の公開を行っています。これによって、科学者はLROのデータの「予習」を行うことができているというわけです。
LROの副計画担当科学者であるジョン・ケラー博士は、このデータにより月についての理解がより進むと言及した上で、「今回公開したデータは55テラバイトにも及ぶ。LROが1年間探査を行うと、そのデータ量は130テラバイトにも達する。これらのデータにより、我々に最も近い隣人である月をよりよく知ることができるだろう。我々は、LROが、これまでのすべての探査データを合計したよりも多くのデータを提供できると期待している。」と語っています。
LROチームは、探査開始から6ヶ月以内に、PDSを通してデータを公開することが義務づけられていました。今回、高次データ(より高度な処理を施したデータ)は、他のデータがまだ取得されておらず、処理ができないことから公開の対象となっていません。LROはこの9月に科学フェーズへ移る予定で、この時点で、NASAの担当は探査システムミッション局(Exploration Systems Mission Directorate)から科学ミッション局(Science Mission Directorate)に移ります。
・New Lunar Images and Data Available to the Public (NASA LRO: 英語)
http://www.nasa.gov/mission_pages/LRO/news/image_release.html
・Planetary Data System (惑星データシステム: NASA/JPL: 英語)
http://pds.jpl.nasa.gov/
LROのデータは、ここから “Researchers” の “Find images” のリンクをクリックし、LROの欄の “Online Data Volumes” をクリックすることで閲覧、ないしダウンロードできます。なお、データはPDSの独自フォーマットになっていますので、みるためには対応したツールないしアプリケーションが必要です。
・ルナー・リコネサンス・オービター (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/history/LRO/