アメリカの月探査衛星、ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)が、この9月16日で基本探査期間を終えることになりました。
LROの基本探査期間は打ち上げ後1年で、昨年6月の打ち上げ、9月の基本探査期間開始から1年が経過したものです。既に、月についての非常に詳細な地図の作成、将来的な有人探査計画における安全な着陸地点選定に向けた場所探索、月の温度や放射線量などの測定など、数多くの探査実績を積んでいます。
既にLROのミッション自体は探査よりむしろ科学成果に重点が置かれてきており、LRO探査は現在、NASAの探査システム部門から、科学ミッション部門へと所管が変更されています。
LROのデータは、この3月から、NASAが所管する惑星探査データシステム(PDS: Planetary Data System)へと提供されています。PDSに提供されたデータ量は、過去の探査でPDSへと提供されたすべてのデータ量を足し合わせたよりも多いというすさまじさです。さらに、今後もデータが続々とPDSへと供給されることになっています。
LRO自体の探査は、今後2〜4年以上継続される見通しです。
科学ミッション部門の副部門長であるエド・ワイラー氏は、「LROの科学探査フェーズへの移行は、月の研究の新たな章を開くものである。」と述べています。
LROがこれまでに出してきた成果としては、

  • アポロ着陸点の詳細な写真の撮影
  • 永久影領域及びその周辺に水(氷)が存在するらしいことを発見
  • 永久影領域を調査し、その表面が冥王星表面より冷たいことを発見
  • 月の地形についての詳細な調査
  • 月全体にわたって断層が分布しており、月が縮んでいることを発見

などがあります。
さらに、旧ソ連が月に打ち上げた月面車(ローバー)であるルノホートの撮影に成功しているほか、その位置を正確に同定することによって、ルノホートに搭載されているレーザ反射装置に地球から正しくレーザーを向けられるようにできるようになりました。このことで、月がどのような運動をしているか、さらに詳細に知ることができるようになるでしょう。
・NASAのプレスリリース (英語)
  http://www.nasa.gov/home/hqnews/2010/sep/HQ_10-223_LRO_Success.html
・ルナー・リコネサンス・オービター/エルクロス (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/history/LRO/