ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)は、その超高解像度のカメラの威力を遺憾なく発揮し、アポロ着陸船の残骸の撮影にも成功していますが、今度は、旧ソ連のルナ探査機の撮影に成功しました。
まず、こちらの写真は、旧ソ連のルナ20号です。ルナ20号は、1972年2月14日に月面へ着陸し、月面から55グラムのサンプルを持ち帰ることに成功しています(無人探査機です)。

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この写真の中央、矢印のところにある小さな点が、ルナ20号の残骸です。残骸ではありますがしっかりと写っています。この部分を拡大した写真を下にお見せします。

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さて、旧ソ連はその後、ルナ21号で無人月面車「ルノホート」を使った探査を行います。22号は周回探査でしたが、23号、24号では再び着陸探査に戻ります。
ルナ23号は1974年10月28日に月面に着陸します。しかし、この探査機では予定されていたサンプルの採集はできませんでした。この探査をやり直す意味で、1976年8月日、最後のルナシリーズとなるルナ24号が月面に着陸しました。
実は、これまで23号と24号の着陸点は、同じ「危難の海」でありながら、正確にはわかっていませんでした。今回、LROのカメラにより、両者が約2.4キロメートル離れて着陸していることが確かめられました。なお、まだ精度が500メートルくらいになっていますが、軌道が向上することにより、今後精度が100メートルほどになると思われます。
下の写真が、ルナ24号の着陸点の写真です。ルナ24号は直径約60メートルのクレーターの脇に着陸していたことがわかります。

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ルナ24号の着陸点の周辺には、白い物質が小さな点として写っています。これは、着陸の際に吹き飛ばされた物質ではないかと思われます。なお、上の写真は縮小していますので、この白い点はみえにくいかも知れません。
ルナ24号は最終的に170グラムの月面土壌のサンプルを取得しました。これで、米ソが競い合った月探査レースは終わりを迎えることとなります。
・Soviet Union Lunar Sample Return Missions (LROC News System: 英語)
  http://lroc.sese.asu.edu/news/?archives/194-Soviet-Union-Lunar-Sample-Return-Missions.html
・ルナ23号とルナ24号の着陸点の画像 (LROC browse system: 英語)
  http://wms.lroc.asu.edu/lroc_browse/view/M111185087
下のバーを使ってズームインしてみて下さい。「LUNA 23」という文字が写真中央付近に、「LUNA 24」という文字が写真やや右側にあることがわかります。
・ルナ探査機 (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/history/luna.html
・ルナー・リコネサンス・オービター (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/history/LRO/