アメリカの月探査機、ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)が、今度はアポロ17号着陸点の超精細画像を送ってきました。アポロ17号着陸点は、以前(2009年7月)にもLROにより撮影されていますが、このときはまだ観測軌道に入っておらず、高度が高かったため、本来の解像度で撮影されませんでした。今回は観測軌道で、本来の解像度で写真が撮影されており、そこにはなんと、立てられた旗までが写っています。

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この写真は、アポロ17号着陸点全体を撮影したものです。Challenger Descent Stageと書かれている写真の中心部が、着陸船「チャレンジャー」が着陸した場所で、その下部がみえています。また、そこを中心として、宇宙飛行士が往復したと思われる跡のような筋模様もみえます。
SEPと書かれているのは、月面電気伝導度実験(SEP=Surface Electronic Properties)のための装置。その下に写っているLRVとは、まさに月面ローバです(LRV=Lunar Roving Vehicle)。月面ローバが最後に「駐車した」状態で写っています。
着陸船のやや南にあるのが「ポピー」(Poppie)というクレーターです。これは、アポロ17号の宇宙飛行士であるジーン・サーナン宇宙飛行士の父親のあだ名がそのままクレーターの名前となったものです。
着陸船の左側には、アポロ月面科学探査パッケージ(ALSEP: Apollo Lunar Surface Experiment Package)が、またその南にはハリソン・シュミット宇宙飛行士によって「ジオフォン・ロック」(Geophone Rock)と名付けられた岩があります。ジオフォンとは、地震計に似た、地表の震動を捉える装置で、それを設置した場所に近かったのでそのような名前がつけられました。また、シュミット宇宙飛行士は、実際にこの岩の調査も行っています。
ALSEPの左上にあるのは、もう1つのクレーター、ルドルフ(Rudolph)です。着陸点付近にはもう1つ、パンク(Punk)と名付けられたクレーターがありました。
そして、着陸船と旗を拡大したのが下の写真です。下の写真は、LROのカメラの画像を4倍に拡大したものです。これによってかろうじて写っているのがみえるというところです。
さらに、この下の拡大写真では、着陸船の脚までが確認できます。

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LROは9月15日に観測軌道に入っています。今回の写真は、7月の写真と異なり、太陽が高い位置にあったため、それぞれの特徴がよく出る写真となっています。
Photo: NASA/GSFC/Arizona State University
・Apollo 17 Lunar Module Landing Site (NASA: 英語)
  http://www.nasa.gov/mission_pages/LRO/multimedia/lroimages/lroc_20091028_apollo.html
・ルナー・リコネサンス・オービター/エルクロス (月探査情報ステーション)
  http://moon.jaxa.jp/ja/topics/LRO/
・ルナー・リコネサンス・オービタ、アポロ着陸点を撮影 (月探査情報ステーションブログ、2009年7月18日)
  http://moon.jaxa.jp/blog/index.php?itemid=111&catid=17