アメリカは現在、大統領選挙モードになっています。とりわけ、年明けから本格化している共和党の大統領候補者選びは、本命といわれるロムニー・前マサチューセッツ州知事に対し、保守派により近いとされるギングリッチ・元下院議長が猛烈な追い上げを図っており、この両者のレースが注目されています。
このような中、1月31日(現地時間)には、大票田でもあるフロリダ州で共和党大統領候補者選出の予備選挙が行われました。フロリダ州はもともと共和党の地盤でもあり、また大票田でもあることから、どの候補も非常に力を注いできました。
そんな折、このフロリダ州での演説で、ギングリッチ氏が、自身が大統領に当選した際には、「2020年までには月面基地を建設する」と確約したというニュースが、spacedaily.comに流れていました。
フロリダ州はご存じの通りケネディ宇宙センターを抱える土地柄で、宇宙関連産業の立地も非常に多いところです。一方、昨年のスペースシャトル引退により、こういった宇宙関連産業も苦境に立たされています。
一方、共和党は伝統的に宇宙開発に積極的とされており、前のブッシュ大統領時代にはアメリカの新宇宙探査計画が立案され、さらにさかのぼればその前のブッシュ大統領(父)のときには有人火星探査計画が、レーガン大統領時代には国際宇宙ステーション「フリーダム」(現在は ISS)が提唱されるなど、常に大きな計画が提案されていました。
spacedaily.comの記事では、今回のギングリッチ候補の提案はあまりに楽観的すぎる(もとより私=編集長も2020年の月面基地建設というのは技術的にもあまりに早すぎるとは思います)ものの、このような提案は、現在のアメリカの宇宙計画に欠けているものを示していると、好意的な見方をしています。
spacedaily.comでは、このような計画を実現するためには、NASAはより多くの予算を(記事中では1割を)研究開発へと振り向けると共に、民間で進む宇宙開発事業を促進していくことが重要であると述べています。
いずれにしても、まだギングリッチ氏は大統領どころか、候補者の1人にしか過ぎませんが、今後の大統領選の行方と共に、各候補者がどのような宇宙政策を掲げるのかにも(もちろん、オバマ政権の宇宙政策にも)注目していく必要がありそうです。
・spacedaily.comの記事 (英語)
  http://www.moondaily.com/reports/A_Moon_Colony_by_2020_999.html