月面着陸となると恒例のような記事ですが、着陸機を上空の高精度の周回機のカメラが捉えました。
月を周回しながら高精度の写真を撮影している探査機「ルナー・リコネサンス・オービター」(LRO)のカメラチームは、このほど、先日世界初の民間月着陸を果たした、アメリカのインテュイティブ・マシーンズ社の着陸機「オデュッセウス」(英語発音では「オディシアス」)を上空から捉えた写真を公表しました。

オデュッセウス(オディシアス)着陸地点の画像

インテュイティブ・マシーンズ社の月着陸機「オデュッセウス(オディシアス)」着陸地点を、上空のLROカメラが捉えた画像。画像中央部の矢印の先に極めて小さい白い点があり、下側に影を引いているのがみえる。2月23日午前8時23分53秒(日本時間)撮影。写真の幅は973メートル。
Photo: NASA/GSFC/Arizona State University

2日後に撮影された画像はこちらです。

オデュッセウス(オディシアス)着陸後の画像

2日後に撮影された同じ場所の画像。直径約1キロほどの風化したクレーターの内部に着陸している。高さは2579メートルの位置にある。着陸地点は傾斜12度ほどの斜面になっている。着陸地点の緯度は南緯80.13度、東経1.44度。写真の幅は上と同じく973メートル。2月25日午前3時57分(日本時間)撮影。
Photo: NASA/GSFC/Arizona State University

これでもやっぱりわからない…という方は、着陸前と着陸後の同じ地点の写真を重ねたアニメーション画像を見てみましょう。確かに、前には何もなかったところに「何物か」が出現していることがわかります。

着陸前後を比較した画像

オデュッセウス(オディシアス)着陸前後の写真を重ね合わせて比較した画像。確かに中央部に、それまでなかった白い点が現れていることがわかる。
※画像が動かない方は、画像をクリックした上でご覧ください。
Photo: NASA/GSFC/Arizona State University

LROは、最大解像度50センチという驚異的な性能を持つカメラを搭載しており、これまで月面に着陸した(あるいはすでに着陸している)探査機の写真を次々に捉えてきました。最近では、月面に何らかの人工物体が到達するとすぐにLROカメラが撮影するというのが半ば恒例になっており、今年のSLIM、昨年のインドのチャンドラヤーン3などもその着陸した姿を捉えています。

こういった画像は、もちろん着陸したことを実証するためにも重要ですが、着陸地点の場所の特定、写真から推定される探査機の状況の把握など、科学的、技術的にも重要な役割を持ちます。

なお、今回の着陸機は横倒しになっている可能性が高いとされていますが、この写真からだけではその姿勢を知ることはできません。