中国国家国防科技工業局は26日に月探査機「嫦娥3号」についての記者会見を開催し、この中で、嫦娥3号が達成すべき任務について、ミッションの3つの目標と科学的な3つの達成項目について述べました。
以下、人民網日本語版の内容をそのまま表記します。

<ミッションの3つの目標>

  1. 月面着陸、月面探査・観測、深宇宙通信システム・遠隔操作、深宇宙探査キャリアロケット打上げなどの重要技術の突破による、宇宙技術水準の向上。
  2. 月面着陸機と月面ローバーの開発、地上深宇宙ステーションの建設、キャリアロケット・月探査機・発射場・深宇宙コントロールステーション・地上応用などを含む機能モジュールの獲得による、月面着陸・月探査の基本能力の形成。
  3. 月探査宇宙プロジェクトの基本構造の形成、重大プロジェクト実施の科学的・効果的な技術方法の形成。

(編集長注)
基本的な部分はこれまでの嫦娥計画と大きな変更はないようです。ただ、今回は着陸を行うということもあり、特に「1.」で強調されているように、基本的な着陸、表面探査を実施するということがまず大きな目標となるようです。2.に関しては将来の深宇宙探査につなげるという目的が大きいと思われますし、神舟シリーズの有人探査にもフィードバックできると思われます。3.については、ミッションで得られた成果を科学的にどのように解析していくのか、という点を重視したものと思われます。

<3つの科学目標>

  1. 月面の形状と地質構造の調査。
  2. 月面物質の成分と利用可能な資源の調査。
  3. 地球のプラズマ層の観測と月からの天体観測。

(編集長注)
1.と2.についてはローバーによる任務達成が主になります。3.は着陸機に搭載された月面望遠鏡ということになるでしょう。その意味で今回は、ローバーによる探査がより重要であるという点がみてとれます。
これまでも公開の場ではローバーの公開の方が着陸機の公開よりも多かったことも、そのような中国当局の位置を反映しているものと思われます。ただ、先ほどの3大目標にもあった通り、科学的にどのように成果を解析していくのか、という点については、ただ単にデータが得られればよいというわけではなく、基礎科学の積み重ねによって総合的な観点から得なければならず、中国の科学技術がどれだけそのような積み重ねを持ち得ているのか、そしてそれをどのように活用していくのか、という点が大きなポイントになると思われます。