探査機、それも遠くへと飛行する探査機とは、通信を確保することが重要です。それと同時に、その位置を確実に把握しておく必要があります。そのためには、深宇宙通信網と呼ばれる、巨大な電波アンテナ群で構成されたネットワークを用いることが必要です。できればそれは地球上に展開され、どのような状況でもどこかの通信局が探査機と通信できることが理想的です。それが無理であれば、他国のネットワークを借りるなどして通信を行うことになります。
日本でも、「はやぶさ」をはじめとする月・惑星探査では、アメリカ・NASAが持つ深宇宙ネットワーク(DSN: Deep Space Network)を利用し、日本のアンテナと共同で探査機の追跡管制、通信を行いました。

今回、嫦娥3号での通信及び追跡管制には、中国独自の深宇宙通信網が使用されると、光明日報の記事を人民網日本語版が伝えています。
中国の深宇宙ネットワークは、上海郊外にある直径65メートルの電波望遠鏡・アンテナと、中国西端のカシュガル市にある35メートルのアンテナが利用されるとのことです。今回の記事では、黒竜江省にあるジャムス市のアンテナには触れられていませんが、こちらも利用される可能性が高いと思われます。

いつものことですが、これに加え、打ち上げ時には太平洋に追跡船が出ているものと思われます。