人民網日本語版によると、来年打ち上げ予定の中国の月探査機、嫦娥3号は原子力電池を搭載し、月面での夜を耐えて長期滞在が可能であるとのことです。
この記事は、24日に開催された講演会で、中国月探査の最高責任者、欧陽自遠氏が述べたものです。
嫦娥3号は月着陸船と月面車(ローバー)から構成され、ローバーは自律走行を行うことができるとのことです。また、月面の夜(以下の注参照)を生き延びるためにローバーには原子力電池を搭載しており、記事によると30年間動作可能とのことです。
また、興味深い記事として、中国の月探査「第3段階」にあたる、サンプルリターン探査についても述べられています。この任に当たるのは嫦娥5号(嫦娥4号は、嫦娥3号のバックアップという形です)になりますが、現在、この大きさの探査機を打ち上げられる中国のロケットはないということです。また、打ち上げ射場も現在のものでは対応できないため、新たに海南島に作られる海南宇宙センターから打ち上げられる予定です。
なお、嫦娥2号については、現在も観測を続けています。今年4月には、地球近傍小惑星トータチスの観測のため、地球から1000万キロも離れた宇宙空間へ向かったとのことです。
(編集長注)嫦娥3号のローバーについて、原子力電池を搭載するという新たな情報が出てきました。月面は昼が14日、夜が14日という環境で、夜の最も寒い時間帯ではマイナス100度以下に冷え込んでしまいます。このため、ローバー内の機器を保温し、壊れないように維持するために、原子力電池の搭載が決定されたものとみられています。なお、日本ではこの夜間の保温技術(越夜技術といいます)について、昼間の太陽光で発電した電力で水を電気分解し、それでできた水素と酸素を夜に燃料電池の燃料として熱と電力を得ようという「再生型燃料電池」技術が検討されています。
・人民網日本語版の記事
http://j.people.com.cn/95952/7887188.html
・嫦娥計画 (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/history/Chang_e/