今年末に打ち上げともいわれている中国の月面探査機、嫦娥3号の打ち上げ時期が迫って来ました。人民網日本語版でも大規模な特集が組まれています。
この記事の中から興味深い点を探っていきましょう。

まずローバーですが、重量は140キログラムと比較的大型です。6輪の金属製タイヤで走行し、動力は太陽電池ですが、熱源として一部アイソトープ電池(原子力電池)を使用するようです。ミッション期間は3ヶ月ということですから、その間に月面の夜を越えることになります。そのための工夫も備わっており、14日間の夜の間は自動的に「スリープモード」に入り、14日後にふたたび目覚めることになります。
また、傾斜角20度の斜面を登る能力を持ち、20センチメートル程度の障害物なら乗り越えられるとのことです。
温度はマイナス180度から150度まで耐えることができるということで、この点では月面の夜(太陽が全く当たらないため、マイナス100度くらいにまで下がるとされています)を越えるのには十分な性能を持っているといえます。

ローバーの任務としては、月面の3次元可視化(おそらくステレオカメラを搭載しているものとみられます)、赤外線を利用した分光分析(スペクトル分析)、元素分析(蛍光X線スペクトロメーターか、ガンマ線スペクトロメーターを搭載?)が挙げられています。
これは編集長としての分析ですが、それほど広い距離を動き回るということはないため、科学的な任務については基本的な内容に絞った上で、ローバー自体の性能を確かめることを優先させたと考えられます。