中国の月探査機「嫦娥3号」のローバー「玉兎」(ぎょくと)の故障原因について、ローバーの駆動機構の内部の制御回路の故障ではないかという見方が報じられています。報じたのは新華社で、3月1日付の記事になっています。

新華社との単独インタビューにおいて、嫦娥3号の責任者であるYe Peijian氏は、この故障のため、玉兎が2回目の月の夜の休止状態に入ることができなかったと述べています。
「通常の休止状態では、玉兎は搭載しているマスト及び太陽電池パネルを折りたたむ必要がある。ところがこの故障のため、そうすることができなかった。このため、月の夜の極低温にそのままさらされることになってしまった。」(上述のYe氏)

玉兎は、月の女神である嫦娥のペットであるうさぎの名前から名付けられたローバーで、昨年12月15日に着陸に成功、月面で活動を行って来ました。想定寿命は3ヶ月で、月の地質的な要素や表面の鉱物、元素などの調査を行うことを目的としています。しかし、今年の1月25日、玉兎が月の夜を迎えるための2回目の冬眠状態に入ろうとするときに、ローバーの問題が発覚しました。専門家は、月の夜にローバーが極めて低い温度(マイナス100度以下)にさらされてしまうことから、機器などが破壊されてしまう可能性が高く、ローバーの復活は無理ではないかと考えていましたが、2月12日、予定より2日遅れて交信が確認され、「復活」しました。

現時点ではローバーの各機器の状態は正常ですが、決して楽観できる状態ではないと、Ye氏はみています。
全国人民代表大会のメンバーでもあるYe氏は、月曜日(2日)から始まる年次総会を前にして、「再度ローバーには復活して欲しいとは思っている」と述べています。