このたび、編集長(寺薗淳也)が執筆した初の単著、『惑星探査入門 はやぶさ2にいたる道、そしてその先へ』が出版されることとなりました。

『惑星探査入門』表紙

『惑星探査入門』表紙

「はやぶさ2」の打ち上げも迫っていますが、私たちはこの数年間で、月・惑星探査について多くの情報に接してきました。しかし、それについて皆様はどれほど深く理解していらっしゃるでしょうか。例えば「スイングバイ」といわれて、パッと説明できる…いや、そこまでいわなくても、何かどういうことをやっているのかイメージできますでしょうか?
これまで出版された多くの書籍は、そういった基本的なことを当たり前のものとして扱っていて、それが月・惑星探査の世界に新しく入ろうとする人たちの大きな障壁になっていたように思います。

この本では、これまでの月探査情報ステーションでの情報発信の経験をフルに活かし、そういった点を排除するように努めました。

  • わかりやすい記述…数式は一切使用せず、専門用語を極力配したほか、その専門用語については例えや日常的な例を使用するなど、わかりやすい記述に努めました。また、あえて同じ内容をいくつかの章に出すことで、「あれは前に書いてあったけどどこだったっけ?」となるような読書上の障害もなくすようにしています。この手の本には珍しく、サラリと読める内容になっています。
  • シンプルな内容…月・惑星探査というと「○年○日○日に何かがあった」というような情報が詰め込まれたものも多数ありますが、これらの情報はインターネットなどで今や簡単にみつけられます。というより、その手の情報はこの月探査情報ステーションがしっかりとしたデータベースを持っています。そこで、そういった情報よりは、その背後にある哲学、考え方といったものに集中することにしました。そのため、情報源としては物足りなく感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、内容をシンプルにすることにより、月・惑星探査の考え方、特に実行する人の考え方がわかるようになっているかと思います。
  • 日本と世界の過去・現在・未来の事情を網羅…一方で、始まってからすでに半世紀以上を経た月・惑星探査は、過去を振り返り、未来を展望することが重要です。過去のことを知らずして未来のことは語れませんし、現在をしっかり把握しておくことも重要です。「現在」という意味では、本書では「はやぶさ2」にまるまる1章を割いて解説しています。しかし、この本は「はやぶさ2」の解説本ではありません。むしろ、それをとっかかりにした、月・惑星探査全般の解説です。

本書の執筆にあたっては、月探査情報ステーションの16年間の経験と、その間に蓄積された情報、多数の資料を参考としており、まさにこの16年間の経験をタップリと注ぎ込んだ内容となっています。

書籍構成は全7章です。

  1. 第1章…はやぶさが残したもの、はやぶさ2が目指すもの
  2. 第2章…惑星探査機の基礎知識
  3. 第3章…探査はいかにして作られるか
  4. 第4章…宇宙探査で宇宙と地球のことがわかる
  5. 第5章…これからの月・惑星探査
  6. 第6章…新しい流れ
  7. 第7章…私たちが進むべき道

文章についても月探査情報ステーションの経験をフル活用し、わかりやすく読みやすい文章構成にしています。理系書にありがちな難解な表現、奇妙な単語、そして理解を妨げるような論理構成はありません。サラリと読んでスッキリ理解できる、そのようなコンセプトのもとに書いております。
以下、書籍の情報です。

  • 題名…惑星探査入門 はやぶさ2にいたる道、そしてその先へ
  • 著者…寺薗 淳也 (てらぞの じゅんや)
  • 出版社…朝日新聞出版
  • 価格…1728円
  • 発売日…2014年12月10日
  • 形態…選書(朝日選書) 18.8センチ×12.5センチ×18.8センチ
  • ISBN番号…4022630280 (10桁)、978-4022630285 (13桁)

12月10日、全国書店にて発売しておりますが、Amazon.co.jpをはじめ、多くのネット書店などではすでに予約が始まっております。ぜひ皆様、お買い求めください。