NASAはこのほど、地球に衝突する可能性がある小惑星を発見し、その性質などを明らかにするための小惑星総合探査計画「小惑星グランドチャレンジ」を発表しました。

この計画は、先日発表されたNASAの新しい小惑星探査計画「小惑星イニシアチブ」に基づくもので、複数の学問分野にまたがる協力関係や、他の国家機関、国際的な協力関係、産業界、学術分野、さらにはアマチュア天文家などの幅広い協力を得て進めていくことになります。これは、小惑星イニシアチブをちょうど補完する形ともなっています。

小惑星グランドチャレンジは、最終的には科学技術分野におけるイノベーションを促進するものとなり、国家、あるいは地球スケールでそれらを推し進めることになります。そして、この構想はオバマ大統領が提唱するアメリカのイノベーション構想(President Obama’s Strategy for American Innovation)の重要な要素となります。

今回の計画について、NASA副長官であるロリ・ガーバー氏は、「NASAはこれまでにも地球に危険を及ぼす可能性がある小惑星の発見に努め、私たちは既にその95パーセントを発見している。しかし、危険がある小惑星はすべて見つけなければならない。この小惑星グランドチャレンジ計画は、こういった小惑星の発見や解明を主眼とするもので、このような危険に対して私たちがどのような形で対処すべきかを知るためのものである。さらに、一般市民の力も利用し、この世界的な問題に対して、市民による科学と、オープン・イノベーションを使って挑んでいく。」と、その意義を強調しています。

ホワイトハウス科学技術政策局の技術・イノベーション担当副局長であるトム・カリル氏は、「NASAが今回、小惑星グランドチャレンジ計画を策定したことに拍手を送りたい。なぜなら、小惑星の潜在的な脅威を見いだし、それらに対する策を練るためには総力を挙げた対応が必要になるからだ。NASAだけでなく、アマチュア天文家や企業などのパートナーの力は、NASAが既に行っている地球近傍小惑星発見の大きな手助けとなるだろう。」と述べています。

NASAはまた、産業界などに対し、小惑星を発見、捕獲、探査する方法について(編集長注=小惑星イニシアチブのものと思われます)、及び小惑星の発見及び脅威への対応のための方策を求める資料依頼書を発出しました。この書類は30日間公開され、一般の人たちの参加を促す役割を担うほか、9月に行われる産業界とのワークショップにも役立てられる予定です。