11月22日、JAXA「はやぶさ2」のチームは、第2期のイオンエンジン連続運転を22日より開始したと発表しました。

「はやぶさ」を知っている方であればすでに基本的な事実かも知れませんが、おさらいしておきましょう。イオンエンジンとは、電気を帯びた粒子(イオン)を電気的に加速し噴射することで加速するというエンジン(広い意味でロケットの一種)です。
イオン自体は本当にごく小さな「粒」でしかありませんが、それでも物理でいう「作用・反作用の法則」が働きますので、加速がごくわずかですが行われます。これを連続して行うことで、非常に効率よく加速するというのがイオンエンジンの原理です。
逆にいいますと、長時間の噴射を行うような宇宙飛行、すなわち月や惑星への飛行で威力を発揮します。できるだけ長い時間、連続して噴射できることが、イオンエンジンとしての能力を左右します。

今回は3台(A・C・D)のイオンエンジンを噴射し、総運転時間2800時間の運転を行います。これによって、「はやぶさ2」は秒速440メートル加速します。時速に直しますと1584キロメートルという値になります。

連続運転の終了は来年(2017年)5月を予定しています。ただ、ずっとエンジンを噴射し続けているわけではなく、途中で精密に軌道を決めるためにエンジン噴射を止めることもあるとのことです。
また、今回の噴射方向は、進行方向に加速するような向き(進行方向と逆方向)になります。

「はやぶさ2」の旅は順調に進行しているようです。

【追記…2016年12月6日】上記記事において、時速に直した値を「0.1メートル」と記述していましたが、これは割り算とかけ算を間違えたもので、正確には時速1584キロメートルでした。現在は上記の値に修正すると共に、関連する記述の修正も行っています。大変失礼いたしました。