「はやぶさ2」が地球の重力を利用して軌道変更(スイングバイ)を行った際、地球の撮影も実施していました。JAXAは本日この写真も公開しました。

「はやぶさ2」が地球スイングバイ時に撮影した写真

「はやぶさ2」が地球スイングバイ時に撮影した写真 (© JAXA)

撮影したのは、「はやぶさ2」に搭載されている光学航法カメラ(ONC-T)です。このカメラは普段は「航法」の名前のとおり、探査機のナビゲーション用にも使われますが、小惑星に接近しているときなどは理学目的のカメラとして使用されます。今回は7つのフィルターのうち3つのフィルターを使用して撮影した画像を「色の三原色」に従って合成、いちばん近い色になるように調整しました。

写真で右側の真ん中から下にむけて写っているのが南極大陸で、真っ白な大陸がはっきりとみえています。その上、右上分にある茶色い大陸はオーストラリア大陸です。
このような角度での地球の写真は、気象衛星などの静止衛星ではなかなか取れませんので、実に貴重なショットといえるでしょう。また、カメラチームにとっては、このような撮影を行うことによって、カメラが正常に稼働することを確認できるとともに、カメラの校正を行ったり、撮影技術を磨くためにもいい機会でもあります。

思えば11年前、初代はやぶさの地球スイングバイのときには、私(=編集長)が相模原の管制室で待ち受け、撮影された写真を処理したあと直ちにJAXAウェブチームへ送信、その日のうちに画像がアップされました。そのときの画像もせっかくですので掲載します。

初代「はやぶさ」が地球スイングバイ時に撮影した地球

初代「はやぶさ」が地球スイングバイの際に撮影した地球。こちらでは大西洋が中心に写っている。2004年5月18日(日本時間)撮影。(© JAXA)

すでに多くの人は、いろいろな形で地球の姿を宇宙から見ているとは思いますが、気象衛星や国際宇宙ステーションから撮影されたものとはまた異なる地球の姿は、多くの人を一層新鮮な気持ちにさせることでしょう。