すでに一部科学館では先行公開が始まり、各地で話題となっている全天周映像「HAYABUSA 2 -RETURN TO THE UNIVERSE-」(はやぶさツー・リターン・トゥー・ジ・ユニバース。以下長いのでH2RUと略します)の試写会が、7月14日、東京都西東京市の多摩六都科学館で開催されました。
今回、編集長も試写会に行ってまいりましたので、その参加レポートをお届けいたします。もちろん、内容についても(ネタバレにならない範囲で)リポートします。

当日は大変暑い天気でしたが、この天候をものともせず、多くの方が来場されていました。

多摩六都科学館

多摩六都科学館のプラネタリウムドーム(大きすぎて全体を写せませんでした)

当日は、大正製薬さんからリポビタンDが差し入れされ(なぜなのかは、もういうまでもありませんね)、皆さんが受付で1瓶ずつ持っていくという形となりました。ちなみに、今回のH2RUの中にも、大正製薬さんの名前が入っていたりします。

受付のリポビタンD

受付でのリポビタンD配布の様子

試写会は2回行われましたが、私は3時からの会に出席しました。
プラネタリウムドームでは、上坂浩光監督がごあいさつ。完成を報告するとともに、今回の制作に込めた意図などを語りました。

監督としては、今回の作品の原点は、「はやぶさ」帰還の光を見つめたオーストラリア・ウーメラ砂漠にあったとのことで、作品自体も、前作「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」の続編と位置づけています。実際、作品をみるとすれば、事前にこの前作を観ておく方が、より理解が深まるのではないかと私自身感じました。
また、今回の作品は「より規模が大きな」内容になっていると説明、前作に比べてもスケールなどが大きくなっているという点を強調していました。さらには、前回と違い、まだ打ち上がっていないものを表現するという意味での苦労なども語っていました。
さらに、今回の作品の大きな特徴として、「はやぶさ」を支え、ファンとして応援している人たちを登場させたいということで、実写をふんだんに取り入れているということを挙げていました。実際、エキストラという形で、「はやぶさ」のファンや、エピソードを持つ人たちが入っています(エンドロールにも名前がでています).この点は、全てフルCGであった前作との大きな違いといえるでしょう。

プラネタリウムであいさつする上坂監督

プラネタリウムであいさつする上坂監督

さて、内容について編集長(私=寺薗)の感想を。
前作からすると、表現などに厚み、ダイナミックさが増し、よりドームで見るのにふさわしい作品に仕上がっていると思います。「はやぶさ」や「はやぶさ2」のことを忘れたとしても、ただ単にドーム映像を樂しむというだけでもこの作品は十分にエンターテイメントとして楽しめるものとしておすすめできます。
また、前作から続く内容である、ということを頭に入れておくと、作品のストーリーもより重層的に理解できて、楽しめると同時に、ここまでたどり着いたことに感動するのではないでしょうか。
前作と大きく異なる点は「まだ打ち上がっていない」ということ、すなわち実機が宇宙へ行っているわけではないということですが、作品はその点を、ある意味で「逆手に取って」見せているという点で、監督の映像での工夫が冴えたと感じました。にもかかわらず、前作と同じスタッフということで、ある意味気心が知れたチームで作り上げたことが如実にわかる、ある意味でのわかりやすさなども感じます。
「はやぶさ2」を知っている人も知らない人も、誰にでも楽しめる作品に仕上がっていると思いますが、これはやはり、ドームで見るべき、それが私の結論です。

試写会終了後は、外の庭にて上坂監督との記念撮影や感想トークなどの時間が設けられていました。さらにはポスターに記念サインができる一角もありました。

サイン入りポスター

試写会出席者からの激励・感動のメッセージで埋め尽くされたポスター

さて、夜は場所を新宿に移し、懇親会が開催されました。
試写会から続けて多くの方々が参加し、参加者同士、そして上坂監督をはじめとする制作スタッフの方々との楽しい談笑、会食の時間を過ごしていました。

ふたたびあいさつに立った上坂監督は、会場にいたスタッフを前に呼び、1人1人の努力をたたえていました。

上坂監督

懇親会であいさつする上坂監督

懇親会には、このH2RUの監修を行った、JAXA宇宙科学研究所の吉川真准教授もいらして、ごあいさつされていました。

吉川真

懇親会であいさつする吉川真・JAXA准教授

さてこのH2RUですが、倉敷科学センターではすでに上映が始まっており、間もなく(7月19日から)、新潟県立自然科学館、山梨県立科学館、相模原市立博物館で上映が始まります。
今後続々と上映館が増えていくものと思います。もしお近くのプラネタリウムや科学館での上映を見かけましたら、ぜひ足をお運びください。そして、「はやぶさ2」への思いを新たにしてみてください。
月探査情報ステーションでも、上映館情報などを随時掲載してまいります。