これまで初期分析を行ってきた「はやぶさ」取得の微粒子について、JAXAは1月24日、分析についての国際公募を開始することを発表しました。
今回の公募は、AO方式となります(エーオー、Announcement of Opportunity)。AOとは、微粒子に関して分析したいテーマやその内容、検討方法などを提案し、その提案が優れていると認められた場合、微粒子をそのチームへと配分し研究を行ってもらうというものです。
研究提案を審査するのは、JAXAに設けられる国際AO委員会で、この委員会は内外の有識者から構成されます。
応募しようとする研究者は、まず今回の応募において分析が可能となる(配分される)微粒子についてのカタログ情報をチェックした上で、研究申請書を書き、それを3月7日24時(世界時間では15時)までに提出することになります。審査は5月中頃までには完了し、その後認定された研究課題について、その代表者宛にサンプルが送付され、解析が行われることになります。
今回の国際AOにおいて解析対象となるのは、みつかった微粒子のうち、「シリケイトタイプ」、すなわち一般的な岩石質(シリケイトとは二酸化ケイ素のことで、地球をはじめ、一般的な天体の主要構成物質)のサンプルです。しかし、地球外からの貴重なサンプルであり、研究者はこのサンプルを相手に、いかに科学的に興味深くまた意義のある解析テーマを提案できるかが問われます。
どのようなサンプルが提供されるかについては、以下のAOサイトにあるサンプルのカタログで確認できます。ここには、サンプルの大きさや形状などが1つ1つ記述されており、これに基づいて、解析内容を決定することができます。
「はやぶさ」が取得したサンプルの解析は、以下の5つの段階を順を追って進んでいくことになっています。
(1)初期分析、(2)NASAが主導する活動、(3)国際AO、(4)JAXAが主導する活動、(5)キュレーション設備での将来分析機会への留保。
このうち、(1)は既にほぼ終了、(2)についてもNASA分については第1回の移送を昨年12月に終えたこともあり、今回(3)のステップ、すなわち国際公募を行うことになりました。
初期分析は、探査に関わってきた科学者に優先権を与えるという意味も含め、主に日本の研究者により行われ、その結果については「サイエンス」をはじめとする一流の科学誌や学会発表などでも科学コミュニティに伝わり、高い評価を得ています。今回の国際公募は、その流れをさらに推し進めるものとなります。
なお、今後「はやぶさ」の微粒子の発見や同定が進めば、第2回以降の同様のAOの機会が訪れることになります。
・「はやぶさ」サンプル国際研究公募の実施について (JAXAプレスリリース)
  http://www.jaxa.jp/press/2012/01/20120124_hayabusa_j.html
・第1回「はやぶさ」サンプル国際研究公募サイト (JAXA, 英語)
  http://hayabusaao.isas.jaxa.jp
・はやぶさサンプル分析・国際AOとは何か? (JAXA/JSPEC)
  http://www.jspec.jaxa.jp/activity/hayabusa_ao/index-j.html
・はやぶさ (月探査情報ステーション)
  https://moonstation.jp/ja/hayabusa/