「はやぶさ」は、3月27日に、昨年春からの第2期の軌道制御を終了しました。3月31日に得られた軌道の推定値によれば、ほぼ計画された目標点を通過する軌道に到達したことが確認されました。
BR-BT図で見るように、計画通りに目標点を捉えていることがわかります。慣性系での図では、目標軌道よりも鋭く曲がる軌道となっているように見えますが、これは、到達点との間になお誤差が残っていることを示しています。昨年11月から採った新たなイオンエンジンの運転形態では、どうしても直接には監視・管理できない情報があって、このために実際の推力の大きさに誤差が出てしまいます。図でみるようにスウィングバイは非常に大きな感度をもっているわけです。われわれもよく多用する手法ですが、大きな軌道制御能力をもつ反面、非常に正確な誘導技術を必要とします。
これから6月までの間に、さらに数回にわたって軌道の微調整を行っていきますが、NASA深宇宙局網の支援も得て、軌道修正中は、実時間での常時監視を行って、この誤差を把握し、精密に誘導していく計画です。
「はやぶさ」プロジェクトマネージャ 川口 淳一郎
■「はやぶさ」地球引力圏を通過する軌道へ!
■慣性座標系(黄道座標系)での「はやぶさ」位置(2010年4月)
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