インドの次期月探査機「チャンドラヤーン2」が、来年(2017年)にもいよいよ打ち上げられるとの報道が出てきました。報じたのはインドの新聞「ザ・ヒンドュー」(The Hindu)です。
インド宇宙機関(ISRO)のマイサミ・アンデュライ総裁が、バンガロールのISRO本部で記者会見して明らかにしました。

チャンドラヤーンという言葉ですが、「チャンドラ」はインドの言葉であるサンスクリット語で「月」を、ヤーンは「乗り物」を意味します。合わせると「月(へ)の乗り物」ということになります。なお、インドの火星探査機の愛称は「マンガルヤーン」といいますが、ご想像の通り「マンガル」が火星、「ヤーン」が乗り物で、同様に「火星(へ)の乗り物」という意味になります。
記事自体はそれほど長くはないのですが、要約しますと、

  • チャンドラヤーン2の打ち上げは、2017年の終わり頃、あるいは2018年早期になる。
  • 探査機のテストはすでにバンガロール(のISRO本部?)で行われている。

とのことです。
また、ISROの「宇宙科学」のページには、短いチャンドラヤーン2のついての記述があり、これによれば、探査機はISROが制作した着陸機と、周回機の2つのモジュールからなるとしています。

チャンドラヤーン2については、2008年に打ち上げられたチャンドラヤーン1の後継として、長い間「噂」に上ってきました。
打ち上げは早ければ2010年代前半(例えば2013年ころ)という話もありましたが、その後計画がずっと遅れていました。この原因ですが、もともと着陸機としてロシア製のモジュール(着陸機)を乗せる予定だったものが変更となり、インド自主開発のものに変わったためとみられています。着陸機の開発などにはそれなりに時間が必要となったのでしょう。

また、この「ザ・ヒンドゥー」の記事で気になるのは、「有人月探査の先駆として」(as a precursor to manned mission to moon)という文面があることです。これが記者が加えたものなのか総裁が語ったことなのかは定かではありませんし、これだけで判断するのは早計かも知れませんが、インドが有人月探査を見据えている可能性を示唆するものともいえます。
実際、インドは来年にも有人宇宙船の打ち上げを行うとみられており、実現すれば旧ソ連(ロシア)、アメリカ、中国に続く、自国の宇宙船で人間を宇宙に送り出す4番目の国になります。
中国がそうであるように(あるいは他の2つの国もそうであるように)、人間を宇宙へと打ち上げるとすれば、その目標として月を設定するというのは自然なことでもあります。

インドは月・惑星探査の分野では中国とは異なり、月探査と火星探査を割とバランスよく行ってきています。その技術力は、アジアではじめて火星探査機マンガルヤーンを火星周回軌道に投入させたことからも明らかです。
次のステップとしては当然着陸を狙ってくることは間違いないわけで、果たしてこのチャンドラヤーン2がいつ実現するのか、そしてその次にインドが月・惑星探査をどのように考えているのか、非常に注目されます。