夏休みらしい(いい意味での)ニュースです。
「はやぶさ2」の目的地である小惑星リュウグウを、高校生が観測することに成功しました。
この観測が行われたのは、岡山県井原市美星町にある美星スペースガードセンターです。この施設は(一財)日本宇宙フォーラムが所有し、NPO法人である日本スペースガード協会が運営しています。
この施設では、地球に近づく小惑星の発見や追跡、宇宙デブリ(宇宙ゴミ)の追跡などの観測を年間を通して行っています。そのための施設として、口径1メートル、50センチの望遠鏡が設置されています。
ここで今年の8月8日〜10日にかけて、高校生たちに小惑星などの観測を体験してもらう「観測体験合宿」が実施されたのですが、この合宿での観測で、兵庫県立舞子高校2年の辻希(のぞみ)さん、金村小春(かなむらこはる)さん、倉敷天城高校2年の伊藤友(いとうとも)さんのチームで観測したデータが、小惑星リュウグウを捉えていました。
なお、観測は1メートル望遠鏡で行われました。
小惑星は発見するだけでもなかなか大変ですが、すでに見つかっている小惑星を観測することにより、より正確な軌道を調べることができ、「はやぶさ2」の運用にも貢献することになります。高校生たちが挙げたビッグな成果といえるでしょう。
なお、今回辻さんはリュウグウの位置測定と測光も行い、この解析によって得られたデータは、国際的に小天体のデータを集めている国際小惑星センター(MPC: Minor Planet Center)に送られました。今後MPCにより、リュウグウのより正確な軌道が発表されることになるでしょう。
さて、小惑星の観測を行う際には、同じ方向に望遠鏡を向け、時間をおいて(例えば数分〜数十分)何枚かの写真を撮影します。こうやって撮影した数枚の写真を重ね合わせると、遠くにある恒星(いわゆる「星」)はほとんどといっていいほど動かないため重ね合わせても同じ位置にありますが、この恒星に比べてはるかに私たちに近い位置にある小惑星はその写真の中で動いてみえます。
以前は写真をまさに「パラパラマンガ」の要領で見比べて小惑星を発見していたのですが、現在ではすべてがデジタル化され、写真をデジタル形式で重ね合わせることで、移動する天体を見つけることができます。
この要領で、観測した写真を重ね合わせたものが下のアニメーションです。さて、この中からリュウグウ(動いている天体)を発見できますか?
なお、今回の大発見につながった「星の学校」は、(一財)日本宇宙フォーラム、井原市美星天文台、NPO法人日本スペースガード協会が共同で実施しています。
- はやぶさ2ウェブページの記事
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20160810/ - はやぶさ2 (月探査情報ステーション)
https://moonstation.jp/ja/hayabusa/2/