先日NASAが発表した月表面の水分子の存在について、その供給源が彗星ではないかという説が出されています。Moondaily.comが報じています。これまで、月の表面に水分子が存在していることが、ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)の観測により明らかになっていますが、その源は明らかになっていませんでした。
この話題は、先日アメリカ・テキサス州のヒューストンで開催された、月探査に関連した160人以上の科学者が集まった研究会、月探査解析グループ(LEWG: Lunar Exploration Analaysis Group)で提起されたものです。
大きなポイントは、エルクロスの衝突でみつかった揮発性物質の中に、炭素や水素を含んでいるものが存在していた点です。これはメタンやエタノールではないかと考えられ、アンモニアや二酸化炭素である可能性もあります。科学雑誌「ニュー・サイエンティスト」がこの件を報じています。
エルクロスの主任科学者であるアンソニー・コラプリート博士は、「(エルクロスが)ぶつかった場所は、どうも揮発性物質にかなり富むところだったらしい。」と述べています。
こういった物質は数十億年の間にほとんどが宇宙へと蒸発(昇華)して失われていったと考えられています。そして、太陽風に含まれる水素が月の物質と化学反応を起こしてできる水は、(ほかに混じるものがないため)おそらくかなり純粋なものになると推測されます。
しかし、彗星であれば、みつかった物質の特徴(有機物などが混じっている)をよく説明できますし、彗星の衝突は月でもよく起きていると考えられます。
・Lunar Water Probably Came From Comets (moondaily.com: 英語)
http://www.moondaily.com/reports/Lunar_Water_Probably_Came_From_Comets_999.html