小惑星探査機「はやぶさ」について、JAXAは11月9日、搭載しているイオンエンジンのうち1基に異常が生じたと発表しました。
はやぶさは、合計で4基のイオンエンジンを搭載しています(スラスタA〜D)。このうちAは打ち上げ直後に動作不安定等があったため運用を休止中、Bは中和器の劣化のために2007年4月以降運用を停止しており、残るB、Cの2基を使って地球帰還に向けての運用を続けていました。
残るスラスタC、Dは、徐々に中和器の電圧上昇の傾向が見られており、既にCは運用を停止(但し、動作することは確認されています)、今回電圧の急上昇によりDの運用が停止したものです。
JAXAとしては対策を検討し、検討結果が出次第改めて報告する予定です。
(注)中和器とは、イオンエンジンの中に搭載されている装置の1つです。「はやぶさ」のイオンエンジンは、キセノンという気体のガスを電気的に分離させてイオン化し、それに高い電圧をかけることにより、イオンが電圧の力により加速されることで推進力を得ます。この際、イオン化されたガスをそのまま噴射すると、探査機自身が負に帯電してしまうため、電気的に中性にするための装置を通して、イオンを噴射します。この装置が「中和器」と呼ばれるものです。
・小惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジン異常について (JAXAプレスリリース)
  http://www.jaxa.jp/press/2009/11/20091109_hayabusa_j.html
・はやぶさ (月探査情報ステーション)
  http://moon.jaxa.jp/ja/hayabusa/